笑顔の〝団体金〟へ
「ロンドンは未知の五輪だったので、どんな舞台なのか想像を膨らませ、ワクワクしていました。今回は落ち着いた気持ちで心に余裕があり、本番に向けて冷静に準備できています」。団体銀メダルを獲得したロンドン五輪から4年。日本代表に定着し、世界選手権では2014年に個人総合3位入賞、昨年は団体優勝を果たした。
経験を重ねて強まったのが、五輪での団体金メダルへの情熱だ。「その思いを平常心で持ちつつ、まずは自分らしい美しい体操をミスなく行うこと。チームに良い流れをつくり、みんな笑顔の〝団体金メダル〟を獲得したい」
頂めざす〝信頼の5人〟
悲願の団体金メダルへ挑む日本男子チームは、ロンドン五輪経験者4人に、床のスペシャリスト白井健三選手を加えた5人で構成。世界王者の内村航平選手が「最強の5人」と胸を張るメンバーだ。この中で、田中佑典選手は、内村選手も一目置く〝美しい体操〟が持ち味。「5人の中で自分が一番丁寧な体操をしていると自負しています。倒立や技のさばきなど基本に忠実で、日本らしい美しい体操を大切にしています」
全6種目中、団体で任される可能性が高いのが、つり輪、平行棒、そして鉄棒だ。つり輪は自身の名前「タナカ」と名付けられた独自の技を持つ。「体の柔らかさと体を前屈し保つ強さを生かした技です」。平行棒はひざを曲げたり、足を開く姿勢になる技を入れておらず、「倒立姿勢が多く目立つ分、常に足先まで伸ばす意識を持っています」。鉄棒は技の流れに注目。「スムーズに流れるようなしなやかさを見てもらいたい」
日の丸を背負って挑む2度目の五輪。「白井選手以外は同じコナミスポーツクラブ所属で、技術面の崩れを互いに教え合え、精神面でも支え合える。白井選手は一番若いですが、ロンドン以降ずっと代表で一緒。〝団体金〟を合言葉にやってきた〝信頼の5人〟です」
表彰台の一番高い場所へ、最高の仲間と共に──。
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リオ五輪に出場する和歌山県関連選手を毎週土曜号で紹介します。
写真提供=コナミスポーツクラブ
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【体操(男子)】予選=8月6日、団体決勝=8日、個人総合決勝=10日、個人種目別決勝=14日~16日
(ニュース和歌山7月23日号掲載)