和歌山県内と大阪府内の高等教育機関、行政、企業団体らが連携する広域連合「紀の国大学」が4月に立ち上がった。複数の大学が和歌山に関連する授業を行い、一定単位を取得すると、連携する地元企業への就職に活用できる。学生の地元定着が目的で、紀の国大学協議会会長の瀧寛和和歌山大学長は「地域と学生が助け合いながら和歌山の未来を切り拓(ひら)く事業。県内全域をキャンパスとして展開し、和歌山で活躍する自信をつけてもらい、教育の立場から地方創生に取り組んでいきたい」と抱負を語る。
県内の和大、和歌山信愛女子短大、和歌山工業高等専門学校、また、大阪府大や大阪市大といった和歌山をフィールドに授業を行う大学が協力。県や紀陽銀行、県経営者協会なども参画し、少子高齢化が進む県内の課題克服に向け、「農林水産業の6次産業化」「地場産業の商品・技術開発」「移住先進地の再興」「命と生活のインフラ」の4本柱で授業を展開する。学生の創業や地元就職を促し、安定雇用の創出と定住人口の増加を図る。
各大学で和歌山について学ぶ授業を設け、学生は単位互換制度を利用して他の連携大学でも受講できる。和大では和歌山の歴史や文化、自然を学ぶ必修科目「わかやま学」を全1年生に開設。2、3年で、希望する学生はさらに、農産物の商品企画、海南の日用品産業の活性化、中心市街地の空き家再生など具体的なテーマに分かれ、現地実習を体験する。
3年間で必要科目を受講すれば、和大が「わかやま未来学副専攻」履修生として認定。学生の就職の強みとして生かせるよう、地元企業に連携を働きかけていく。また、将来は和歌山で働くことを希望する社会人を対象に「わかやま未来塾」を設け、U・Iターンの促進も視野に入れている。
写真=和歌山をフィールドとする授業を複数の大学で実施
(ニュース和歌山2016年5月14日号掲載)