衆議院が解散され、10月10日(火)公示、22日(日)投開票と決定。和歌山1区に民進前職で希望の岸本周平氏(61)、自民前職の門博文氏(52)、共産新人の原矢寸久氏(65)、2区に自民前職の石田真敏氏(65)、希望新人の坂田隆徳氏(38)、共産新人の下村雅洋氏(62)が立候補を予定する。各氏が重要と考える政治課題を1面、人となりを2面で紹介する。

1区 前職2氏と共産争う

 3期連続当選の岸本氏は、「年金を守る」「利権政治を止める」「平和を守る」に言及。「安倍内閣は年金の半分を株に投資し、リスクを広げた。暴落すれば年金生活は破壊される」とし、「森友学園、加計学園のような、えこひいきと利権政治は目に余る」。北朝鮮には「圧力と対話の両方必要。ミサイル射程内の日本と、アメリカは国益が異なり、強硬策だけで平和を守れない」と主張する。

 過去2回、比例復活の門氏は、「災害に対し安全と安心を」を最重要とする。「南海地震が心配される中、和歌山県と和歌山市が共に取り組む国土強じん化計画を全面的に支援する。小型衛星を使った宇宙情報インフラで、台風や集中豪雨による洪水、土砂災害に備える。北朝鮮には毅然と対応する」と力を込める。他に、「観光産業の創造で経済の活性化」「住みやすい街づくり」をあげる。

 国政に8回挑戦した原氏は、「憲法9条改変や、国政私物化を許さない」「北朝鮮問題の外交的解決」「格差と貧困をただし経済に民主主義を」の3つとも最重要とする。「安倍政治は戦争のない国の形を安保法制・戦争法の力づく採決で破壊した。安保法制廃止、立憲主義回復が急務。北朝鮮制裁を強化しながら外交的解決を探り、軍事衝突を許さない。消費税10%は中止」と強調する。

2区 議席奪取へ2新人挑戦

 7期目を目指す石田氏は、「日本を取り巻く安全保障」「Society5.0への対応」「地方創生の促進」を重要とする。特に、Society5.0に関し、「人工知能に代表される技術革新で、働き方や社会保障、教育、生活が大きく変わる。変化を経済成長につなげ、豊かでゆとりある社会を実現する。子どもたちが生き抜く力を身につけるため、乳幼児の教育無償化を進める」ときっぱり。

 昨年の参院選出馬を模索した坂田氏は、「アベノミクスの是非」「立憲政治の回復」「緊迫する国際情勢」を示す。「アベノミクスで株価が上昇し、一部大企業の業績は上がったが、庶民は豊かにならない。格差が大きく、社会に亀裂をつくった。所得再分配を機能させ格差を是正し、懸命に働く人が豊かになる社会へ。特に、子育て世代の負担を減らし、手厚く手当てする」と意欲的だ。

 12年ぶりに衆院選挑戦の下村氏は、「憲法違反の安保法制・戦争法、共謀罪、秘密保護法の廃止。憲法を守り、生かす政治の実現」「北朝鮮の経済制裁と米朝の無条件直接対話による解決」「森友・加計学園問題の解明」を提示。「戦争できる国づくり法である安倍政治の憲法破壊法律の廃止を最優先し、立憲主義を取り戻す。米朝の現実的平和的解決を図り、国政私物化をただす」と描く。

 

立候補予定者6氏 こんな人

 予定6氏の人柄に迫るため、次の質問を投げかけた。

①好きな本 ②好きな曲 ③好きなテレビ番組 ④1週間、休みが取れたら? ⑤今、一番会いたい人 ⑥有権者に知ってほしい自身の魅力 ⑦和歌山に必要と考えるもの

岸本周平氏 (1区)

 東京大学法学部卒。大蔵省を経て2009年衆院初当選。超党派NPO議員連盟事務局次長。

①マックス・ウエーバー『職業としての政治』。どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!」とあきらめない政治家をめざしたい。
②桑田佳祐『若い広場』。青春時代を思い出す。
③『岩合光昭の世界ネコ歩き』。癒される。
④沖縄の海でダイビング。立候補以来、やっていないので。
⑤今年2月に亡くなったお母さん。いつも心配かけていたので。
⑥12年間、スーパー前などの街頭演説で有権者の声を聴くことを大事にしてきました。ミニ集会など応援団の方々はどうしても甘くなるので、道端で厳しい意見を聞くように努力しています。
⑦家族を大切にし、仕事にまじめに取り組み、和歌山が大好きで町おこしボランティアをする若者が大勢いる。彼らのパワーを生かし、応援していく仕組みや人のネットワークをつくることが大事です。

門博文氏 (1区)

 和歌山大学経済学部卒。ロイヤルパインズ社長を経て、2012年比例区で初当選。

①『新・観光立国論』。デーヴィッド・アトキンソン著。日本の観光産業への取り組みに警鐘を鳴らしていることに共感しました。
②松山千春『足寄より』
③『ガイアの夜明け』。奮闘する人々の特集が民間企業出身者として勉強になります。
④神社仏閣巡り。外国人観光客を誘致するためには神社仏閣がキラーコンテンツになるものと思われます。
⑤田中角栄氏。政治家として尊敬しています。
⑥常に和歌山を第一に考えています。和歌山にとって何が大切か、何が必要かしっかり考え、常に全力で取り組んでまいります。
⑦関西空港に隣接する和歌山の立地的優位を生かし、外国人観光客を増やすことで地域経済の活性化を図ることが必要と考えます。

原矢寸久氏 (1区)

 立命館大学第二文学部中退。「週刊白浜」記者を経て、共産党県副委員長。

①『静かなドン』。ショーロホフの大河小説。生きる人間のすべてがここにある。
②バーブラ・ストライザンドの『追憶』。青春の郷愁を誘う。
③ありません
④スイミングをし、小説を読み、北山か古座川の星空を見上げ、好きな音楽を聴き、紀伊半島を探索する。
⑤去年亡くした息子、悠矢。
⑥紀伊半島の国土と環境、人びとの暮らしを守りたいとの思いはだれにも引けをとりません。気さくで明るく、屈託のない性格、ポジティブシンキング(楽観的)で、だれとでもすぐ友達になれます。
⑦知恵と工夫です。これほど豊かな自然や資源がありながら、それを生かし切れていない。第一次産業と中小企業にもっと政治の光をあてて、根本から再生をめざすべき。観光もしかり。各界の人びとの知恵と力を集めるべきです。

 

 

 石田真敏氏 (2区)

 早稲田大学政治経済学部卒。和歌山県議、海南市長を経て、2002年に衆院初当選。

①漢学者、安岡正篤氏の著作。規範の一つとしている座右の書です。
②『見上げてごらん夜の星を』。歌詞が好きです。
③スポーツとニュース。スポーツが好きです。
④妻と旅行。まとまった休みが取れないので。
⑤特になし。
⑥魅力ではありませんが、生真面目と評されることが多いです。そのためか、国政でも政策立案や与野党調整といった役柄が多く、皆さんの目に触れる機会は少ないですが、丁寧に仕事をしています。
⑦地域活性化による雇用創出。道路網整備で企業立地や観光など大きな効果が出ており、今後の整備は可能性を広げます。さらに、和歌山の特性と最新技術を結びつけ、新産業の創出や、農林水産業などを活性化し、働く場を作り出すことです。

坂田隆徳氏 (2区)

 関西学院大学法学部卒。衆院議員秘書を経て、昭和鋼業取締役。

①『小説吉田学校』『国家の罠』。政治活動をする上で勉強になります。
②斉藤和義。特に『やさしくなりたい』。忙しい中、落ち着くんです。
③『ファミリーヒストリー』。様々なご先祖様がいて、現在につながっているんだなといつも感動します。
④温泉に行きたい。とにかく温泉が好きなんです。
⑤原敬。政治家として尊敬しており、教えを請いたい。
⑥人懐っこい性格。多くの方々とできる限りお会いし、意見交換しますが、まだまだ顔が売れていません。お会いすると、「こんなに話しやすいヤツやったんか」と言われます。
⑦自信。「和歌山は田舎やさかい、近畿のおまけやさかい」なんてことをよく聞きます。しかし、多くの観光資源、豊かな農産物に恵まれた素晴らしい地域です。私たちは胸をはって、自信を持って和歌山の良さを県外にアピールすべきです。

下村雅洋氏 (2区)

 和歌山大学教育学部卒。民青同盟県委員長を経て、共産党県常任委員。

①『道標』。宮本百合子の作品で、迷いながらも、真実に目を向け自分の進むべき道を見つけていく。
②『酒と泪と男と女』。カラオケの十八番。
③『宮廷女官チャングムの誓い』。韓国ドラマにはまりこむ作品。
④野山の散策や夜空を眺める。疲れを癒し、明日に向かう気力を回復できる。
⑤亡くなった父親。私や家族を育てるために、母親とともに尊敬しています。
⑥大家族の中で、家族農業、山仕事をしてきました。母校の中学校統廃合を断念させる運動を、高校の仲間と取り組んだ経験のある市民感覚を持つ政治家。
⑦和歌山の人口減、地域の衰退対策は喫緊の課題です。農林水産業を生業(なりわい)として安心して暮らせる地域づくり。和歌山の中小企業で安心して働けるよう、中小企業への賃金補助など行い、最低賃金を全国一律1500円にします。

 

衆議院議員選挙和歌山1区公開討論会

10月9日(月)午後7時、和歌山市手平のビッグ愛1階。立候補を予定する希望の党の岸本周平さん、自民党の門博文さん、共産党の原矢寸久さんが、「憲法」「財政再建策」「北朝鮮に対する外交政策」「福祉政策」「地方分権」などをテーマに、意見を述べ合う。無料。わかやま市民自治ネットワーク(073・431・2330、郵政クラブ内)。

(ニュース和歌山/2017年10月7日更新)