今年も地元を元気にする様々な取り組みを紙面でお伝えしてきました。この中でも特にキラリと光った9組を、本紙編集部が独断で選出。その熱意と努力を讃え、2015年のニュース和歌山大賞を贈ります。皆さんのさらなる活躍を期待します。
地域の絆賞 もか吉 人に寄り添い支援
子どもの安全を散歩中に見回る、ぼうはんパトロール犬1号のもか吉が「地域の絆賞」です。4歳のオス、もか吉は飼い主の吉増江梨子さんと一緒に介護施設で高齢者を癒やしたり、小学校の動物愛護教室で命の大切さを伝えたり。9月には和歌山市福島の福島小学校区で、県内初のぼうはんパトロール犬として活動を始めました。児童の登下校や放課後の安全を毎日見守り、今では約70頭が登録する活動へと広がりました。人と動物が寄り添い、地域でつながる大切さを伝えてくれています。
感動賞 北原美希さん 再起かける女性車夫
全国でも珍しい人力車の女性車夫として奈良でデビューを飾った直後、31歳の若さで脳こうそくと心臓疾患に見舞われ、夢を絶たれた北原美希さん(33)。病から2年、努力を重ね、地元和歌山で再スタートを切りました。練習をかねて和歌山市内で人を乗せて走り、9月には念願だった小学校での体験会を開催。子どもたちに乗客との信頼関係の大切さを伝えました。大病を乗り越え走るひたむきな姿と笑顔で、まちなかにさわやかな風を運んでいます。
ふるさと愛賞 和歌山の自慢を共有しましょう FBで地元の魅力発信
インターネットのフェイスブックのグループページ「和歌山の自慢を共有しましょう」。地元ネタを投稿し合うだけでなく、ふるさとが誇れる自慢を磨こうとアイデアを出し合い、和歌祭鑑賞ツアーや雑賀崎灯台と友ヶ島の清掃など、様々なイベントを企画しました。11月に開いた「1日限りのイズミヤパン完全復活祭」では、フルーツパン、ソーセージドッグなど計1200個が2時間足らずで完売。多くの人たちが懐かしの味を喜びました。
スポーツ賞 藤田俊夫さん 日本初 80歳で100㌔達成
80歳で現役を続けるベンチプレス選手、和歌山市柳丁の藤田俊夫さんが、2月の「ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会」で、目標の100㌔に見事成功しました。日本パワーリフティング協会によると80代で100㌔を記録するのは日本初で、「おそらく世界でも初めて」とのこと。「天に昇る気持ち。元気なうちはこれまで通り練習し、大会にも挑戦します」とますます元気な藤田さんに、スポーツ賞を捧げます。
平和賞 楠山雅彦さん・東さくらさん 戦争のない世界願って
戦後70年を機に、和歌山大空襲の経験をまとめた『鼠島(ねずみじま)―10歳の空襲体験記』を再版した楠山雅彦さん(80)。「国際平和には、世界の人たちとの対話が必要」との楠山さんの言葉を受け、孫の東さくらさん(22)は留学先のロンドンで8月、平和についての討論会を開きました。楠山さんは11月、大阪大学で戦争と平和を考えるワークショップ、東さんは2回目の討論会を計画するなど精力的。戦争のない世界を切願する2人に平和賞を贈呈します。
応援賞 フレンZOOガイド 動物園100周年盛り上げ
大正、昭和、平成と時代を超え、市民に愛される和歌山城の動物園。〝100周年イヤー〟を盛り上げた市民ボランティアグループ「お城の動物園応援隊わかやまフレンZOOガイド」が応援賞に輝きました。園長選挙や拡大版のZOOフェスティバルで盛大に祝ったほか、ジュニアガイドの養成に励み、動物園のファンを着々と増やしています。城郭内に残る動物園は全国でわずか3ヵ所。〝ZOOっと〟未来に残したい市民の宝を見守ります。
地域愛賞 中尾安希さん 紀三井寺石灯ろう復活
半世紀以上、壊れたままだった紀三井寺参道沿いの石灯ろう6基が6月、復活しました。尽力したのは和歌山市三葛の洋画家、中尾安希さん(73)。寄付を募り、自らの作品を販売して費用約125万円を集めました。また、1996年から20年間、元旦にあしべ橋付近で「初日の出を見る会・描く会」を開き、和歌浦からの景色の美しさを広めてきました(2015年で終了)。あふれる地域愛に敬意を表します。
教育支援賞 巽小図書ボランティア 子どもの読書応援
本の貸し出し状況を管理するシステムを巽小学校(海南市重根)の図書ボランティアが手作りし、導入した2学期から、子どもたちの読書活動が活発になっています。約30年前に電気機器メーカーで勤めていた栄川誠さん(64)がパソコンの表計算ソフト、エクセルでシステムを構築。他のボランティアと共に夏休みも学校へ通い、約1万冊の書籍情報を電子化しました。人気本や読書数のランキングが表示され、子どもたちの読書意欲を刺激します。
アイデア賞 チーム3℃ 買い物で地域活性化
商店街を集団で買い物して回るユニークな地域活性化イベント「キャッシュモブ」を企画したチーム3℃がアイデア賞。和歌山市のぶらくり丁や七曲市場で3回行い、いずれも約70人が店頭に列をなしました。参加者からは「物はインターネットで買えるが、店で探す楽しみを忘れていた」と好評で、商店主からも喜びの声があがります。活動の輪が全国へ広まるよう、インターネットでPRしています。
(ニュース和歌山2015年12月26日号掲載)