和歌山県内を訪れる外国人は年々増加し、昨年度は前年の1・4倍、過去最多となる42万7594人が宿泊した。このうち75%がアジア圏で、特に中国、香港、台湾からの観光客が多い。個人旅行者が増える中、JRは和歌山駅に外国人スタッフを配置、県は多言語観光ウェブサイトの充実を図った。

JR和歌山駅に外国人スタッフ 多言語で旅行客ご案内

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 急増する外国人観光客をスムーズに案内しようと、JR和歌山駅に6月1日、中国語や英語に対応できる外国人スタッフ2人が着任した。このうちの1人、台湾出身の石尚群(シー・シャンチュン)さん(28)は「海外と和歌山の橋渡しとして、楽しい旅のお手伝いができれば」と張り切っている。

 和歌山市内では和歌山城やマリーナシティ、黒潮市場といった場所が人気で、これまでJR和歌山駅でも中国、香港、台湾からの観光客への案内に追われることが多かった。

 JR西日本では関西空港駅を皮切りに、16駅に専門スタッフを配置。和歌山県内は和歌山駅が初で、みどりの窓口前に専用カウンターを開設した。これまでも構内の案内表示に中国語と韓国語を加えたり、駅員が翻訳アプリを使ったりと工夫してきたが、遅延や忘れ物といった場合への細やかな説明はしにくかった。

 和歌山駅で多く見られるのは、ガイドブックと大きなスーツケースを手にした少人数のアジア人グループ。中国語、英語、日本語に対応できる石さんはすばやく声をかけ、バスターミナルや切符売り場、ホームまで、毎日40人、休日は70人ほどを案内する。

 昨年来日した石さんは「『おいしい和歌山ラーメンの店はどこか』と聞かれることも。私自身は桜の時期の和歌山城を見てとても感動しました。食べ物もおいしく、和歌山はすばらしい所がいっぱいです」とにっこり。

 JR西日本和歌山支社営業課の道本隆文課長代理は「今はまだないですが、ダイヤの大きな乱れが起きたときは腕の見せ所。お客様の不安を取り除き、『和歌山に来てよかった』と思われるよう活躍してほしい」と期待している。

写真=観光客を案内する台湾出身の石さん(右)

 

和歌山の魅力 世界へ発信 和歌山県 個人旅行増加受けサイト刷新

 和歌山県の魅力を発信する多言語観光ウェブサイト「Visit Wakayama」が5月、リニューアルされた。外国人記者が現地を巡り、国外からの旅行者目線による和歌山が紹介されている。県観光交流課は「欧米人の多くは事前にスケジュールを立てずに来日する傾向がある。スマートフォンやタブレット対応になったので、そういったお客さんを呼び込みたい」としている。
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 個人旅行者の多くはインターネットで旅行先を調べるが、従来のサイトでは「日本語を翻訳しただけで分かりづらい」との声があった。今回、著書に『新・観光立国論』があるイギリス人、デービッド・アトキンソンさんの監修でリニューアルした。

 サイトは英語、フランス語、スペイン語、中国語(繁体・簡体)、韓国語、タイ語、インドネシア語に対応。自然や世界遺産、温泉などのテーマ、エリア、季節などに分け、画面一杯に美しい景色や料理の写真を提示し視覚的に魅力を伝える。また、外国語宿泊予約サイトや口コミサイトと連携し、宿泊施設や飲食店情報を入手しやすくしている。

 和歌山県観光連盟HPか、URL(visitwakayama.jp)入力で閲覧可。

写真=外国人目線での和歌山観光を紹介

(2016年6月18日号掲載)