宇宙への夢、水ロケットに乗せて──。和歌山市吹上の桐蔭中学校科学部のチーム「桐蔭∞(フィニティ)」が7月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)主催の水ロケット大会で優勝し、11月にインドで開かれる世界大会への出場を決めた。メンバーの竹中美結さん(2年)は「世界の仲間達と科学やロケットについて意見を交わし、将来、宇宙開発に携わるための知識や技術を身につけるきっかけにしたい」と意気込んでいる。
高い飛行精度 日本代表に
中学生28人が所属する同部は、ロボットを製作し、大会に出場しているほか、小学生向けのロケット作り教室などを開いている。指導する藤木郁久教諭は2011年と12年に世界大会への出場経験があり、今回、竹中さん、平嶺桜さん(2年)、藤木教諭で桐蔭∞を結成した。過去に世界大会出場を経験した指導者がいるチームが対象の経験者枠で申し込んだ。
書類による1次審査で10チームから3チームに。2次審査は7月に神奈川県で行われ、英語で日本や母校を紹介するプレゼンテーション、50㍍先の的に水ロケットを発射して正確さを競う実技があった。
2次審査を前にメンバーは紀の川河川敷やコスモパーク加太で約70回、試射を行った。発射角度や機体のペットボトルに入れる水の量は決められているため、機体の形や詰める空気の量がカギを握る。3人は新聞や粘土をロケットの先端に詰めて重心を前に寄せ、羽を大きくし、飛行中の安定性を高めた。また、風の強さに合わせた空気の圧力の加減もつかんだ。本番では出場校の中で唯一、4回全て誤差が5㍍以内、最も近いもので1・3㍍だった。精度の高さが評価され、世界大会出場の切符を手にした。
世界大会はアジア、太平洋地域から14ヵ国、約80人が参加する。平嶺さんは「国内大会と違って、当日配られる材料だけを使って、チームではなく1人でロケットを完成させないといけない。3人で積み重ねたノウハウを共有し、世界一を目指します」と笑顔をみせる。藤木教諭は「英語が得意で科学に興味がある2人。宇宙への考え方を深め、成長の機会にしてほしい」と見守っている。
写真=機体をチェックする竹中さん(手前左)、平嶺さん(同右)、藤木教諭
(ニュース和歌山/2017年8月19日更新)