《回答者》
◆栄養部
今村病院
管理栄養士
阿波 智巳先生
日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳で、このうち健康上の理由で日常生活が制限されない健康寿命は男性72歳、女性75歳です。代謝が落ちてくるのは60代からといわれますので、還暦前後で食事を意識し、変えることが、健康寿命を延ばせるかどうかの重要な分かれ道となります。
「オートファジー」と呼ばれる細胞の新陳代謝は、細胞内の老廃物や有害物質、正常な組織などを回収・分解し、リサイクルして新しい細胞に作り変える働きです。これが衰えると、細胞の恒常性が保てなくなって老化したり、免疫機能が低下して病気になったりします。
オートファジーの働きを助ける栄養素を摂取すると同時に、働きを低下させる物質を増やさない食べ方が健康寿命を延ばすことにつながります。
働きを助けるものとしては、ウロリチンを含むくるみやベリー系の果物、スペルミジンを含む豆類や発酵食品、アスタキサンチンを含む鮭や海老、カテキンを含む緑茶などです。反対に働きを低下させるのは、体内で作られる「ルビコン」というタンパク質です。ルビコンは脂っこいものを多く食べると増えやすくなります。高脂肪食を避け、腹八分目を意識して健康寿命を延ばしましょう。
(ニュース和歌山/2023年5月28日更新)