和歌山にこだわったクラフトコーラシロップ「wanocola」。生み出したのは、25年にわたり企業ロゴや商品パッケージなどを手がけるデザイン会社、サウスの南亘社長(49)です。「梅酒用の完熟南高梅をクラフトコーラに使ったのは、おそらく初めて。デザインの力で地元農産品をブランド化し、全国に広めたい」と意気込んでいます。
梅の価値上げる
──梅を使った理由は?
「コクのある、しっかりした味になるからです。こだわったのは梅酒の梅を使うこと。普通は青梅ですが、高級梅干し用の完熟南高梅で梅酒を作り、エキスを取った後の梅を原料にしました」
──力を入れた点は?
「完熟梅を必要量確保することです。南高梅の価値をさらに上げようと5年前、みなべ町の梅農家と取り組み始め、一緒に梅畑へ入り作業の流れを把握しました。完熟梅は外に置いておくとすぐに傷みます。また、潰れやすいので、小さなコンテナに分けて運ばないといけません。手間のかかる作業を梅農家と協力できたからこその賜です」
──地元農作物を使っています。
「厳選した和歌山の産品です。和歌山市山東のレモン、有田川町清水のぶどう山椒、那智勝浦町口色川の土生姜と、和歌山を縦断できるよう紀北~紀南の産品を取り入れました。wanocolaのパッケージには『和』『倭』『輪』『わ』と入れました。『和』は『和歌山』、『倭』は『中国から見た日本』、『輪』は『みんなの輪』の意味です」
ライバルはAI
──デザイナーが商品作りとは意外です。
「ロゴやデザインを考えるだけが仕事でなく、味や見た目を含めたブランド価値を上げるのがデザイナーの役目だと思っています。例えば、昔からある干し梅。新規参入に当たっては、値段を下げるより、和歌山の目玉になるよう価値を高め、全国に発信しようと考えました。後味が良く、くせのない大きなはちみつ梅をハート型に成形。スタイリッシュなパッケージに入れたことで、注目されました」
──今後は?
「このコーラは梅酒の梅を再利用するアップサイクルで、環境に優しい。ライバルは、既にあるモノから必要なモノを探すのが得意なAI(人工知能)です。ただAIは、世に無いモノを生み出せません。現在は、梅を使った新商品を開発中で、さらに和歌山の価値を高めたいと考えています」
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wanocolaは6月17日㊏からmoromoloサイトで販売予定。
(ニュース和歌山/2023年6月10日更新)