《回答者》
◆消化器外科・一般外科
福外科病院
消化器外科専門医
大腸肛門病専門医
消化器病専門医
福 昭人院長
その症状は、裂肛のようですね。
裂肛とは、肛門に生じる亀裂、びらん、潰瘍の総称で、患者は20~50歳代が中心です。女性の場合、20歳未満が最も多く、年齢とともに減少していくのに対し、男性は40歳代にピークを認めます。これは、性別や年代によって食習慣や生活環境などが変化し、それによって排便障害をきたすことが原因と考えられています。
腫れがひどく、治りにくい場合は、炎症性腸疾患、結核、梅毒、白血病の転移、性的虐待、エイズ、皮膚がんを鑑別します。軽症であれば、排便後は座浴や水で洗浄し、肛門を清潔に保つとともに、紙などで強くふくことを避けます。便秘の方は肉類を食べ過ぎないようにし、十分な食物繊維を取りましょう。下痢の方は冷たい飲み物、アルコール、香辛料の過剰摂取に注意します。外用薬は、痔核の薬を使います。痛みの原因となる肛門筋肉収縮を緩める薬剤は、日本では保険適用されておらず、病院が独自に医師の指示のもと提供することもあります。ただ、肛門狭窄になると、外科的治療となります。
まずは大腸肛門病専門施設の受診をおすすめします。大腸肛門病専門施設や専門医は、日本大腸肛門病学会のホームぺージで検索できます。
(ニュース和歌山/2023年6月25日更新)