《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
整形外科専門医
木戸 勇介先生

 骨折は、転倒などの外傷、またはスポーツなどの疲労の蓄積によって生じます。外傷による骨折について解説します。

 骨折治癒過程は、次の3段階に分かれます。①炎症期…骨の周りの微細な血管が損傷し内出血を生じます。この内出血をきっかけに炎症反応(腫れる、熱をもつ)が起こり、組織は修復へと向かいます。炎症期は1週間ほどで終わります。②修復期…①の後、3~4週間かけて「軟性仮骨」という骨折部を橋渡しする仮の骨が形成され、痛みが軽減してきたことを実感します。その後2~3カ月かけて、軟性仮骨は「硬性仮骨」へと強度を増していきます。硬性仮骨が完成すると修復期は完了します。③再造形期…②までででき上がった骨が、正常の骨と同じ層板骨になるまで、数カ月~数年かけてゆっくりと修復していきます。

 つまり、骨折後1週間は強い腫れと熱っぽさが生じ、3~4週間で骨折部がグラグラすることはなくなり、痛みもましになります。2~3カ月で骨折前と同等の強度になり、数カ月~数年かけて元の構造を再構築していきます。この正常な骨折治癒過程が達成困難と思われる場合や、この期間を短縮できるなどのメリットがある場合に手術をお勧めしています。

(ニュース和歌山/2023年6月25日更新)