《回答者》
◆外　科
楽クリニック
藤田  定則院長

　肛門に違和感があるなと思ったら、痛みを伴うイボができ、大きくなって、翌日には激痛に悩まされることがあります。これを「血栓性外痔核」といいます。イボは１㎝前後、時にはそれ以上になります。原因は下痢や便秘のほか、トイレに長く座って強くいきむ、冷え、刺激物やアルコールの多量摂取など、肛門に急激な負担がかかることで血流が滞り、血栓（血の塊）ができて発症します。

　ほとんどの場合、注入軟膏や痛み止めの薬、腫れを引かせる薬で改善するので、手術などは必要ありません。入浴で患部を温めるのも有効です。肛門部に便が溜まるとさらに痛みが増すので、浣腸などですっきり出しきりましょう。

　痛みのピークは２～３日目で、その後、引いてきます。経過途中に皮が破れ、出血することがありますが、数日で止まります。一方で、眠れない、座れないなど、痛みが激しく日常生活に支障がでるような場合は、外科的治療を行うこともあります。症状によっては適切な治療を受けないと、腫れが引いたあとに皮膚のしわとなって残ることもあります。

　発症後、早く受診すれば、軽症で済むでしょう。肛門の縁に急な症状がでた時は、すぐに診察を受けることを勧めます。

（ニュース和歌山／2023年7月23日更新）