海、山、川と雄大な自然を自転車で旅してほしいと「サイクリング王国」を掲げる和歌山県。県内で総延長800㌔にも及ぶ自転車道を整備し、人気アニメ「弱虫ペダル」のスタンプラリーなど、力を入れてきた。そんな中、和歌山市にサイクリストをメーンターゲットとする宿泊交流施設が初めて誕生。また、JRはサイクルトレインを和歌山駅~御坊駅間で新たに実施するなど各種サポートが充実してきている。

和歌山市に初登場 サイクリストメーンのホテル

 自転車を楽しむ人の新たな拠点として、同市元寺町で7月15日にオープンしたのが、「自転車と旅好きが集まるホテル」がコンセプトの「チャーリーズ・ベッド」(写真)。 

 盗難予防に館内駐輪場を設置。宿泊者だけでなく自転車好きの交流拠点となるよう、ラウンジにロードマップや自転車専門誌を並べ、整備工具や洗車道具を用意した。今後は自転車関連のイベントも実施する考えだ。

 運営するワカヤマヤモリ舎の宮原崇代表は「自転車で県内を巡る人の手助けになればと開業しました。宿泊なしでもシャワーやランドリーを利用でき、地元産のジュースや軽食で食の魅力にもふれてもらえるように考えました」と話している。

 予約はインスタグラム(charliesbed_)から。

JR普通列車 和駅~御坊駅 持ち込み可に

 JR西日本は8月21日㊊から、自転車を電車内に持ち込むことができる「きのくに線サイクルトレインプラス」の実証実験を和歌山駅─御坊駅間で新たに始める(写真)。

 同サービスは2021年9月から御坊駅─新宮駅間で開始し、昨年は利用者が1万人を超えるなど、サイクリストに好評だったことで延伸を決めた。

 利用は普通列車のみで、主に朝夕のラッシュ時は除く。追加料金は不要。1列車3台までで完全予約制。従来通り、解体し専用袋に入れての持ち込みもできるため、4人以上でも目的地でサイクリングを楽しめる。期間は定めず、成果が認められれば本格運用する。

 予約や対象列車の確認など、詳細はきのくに線サイクルトレインHP

 和歌山県観光振興課は「チャーリーズ・ベッドのような、サイクリストに特化したホテルは和歌山市では恐らく初めて。県外の愛好家たちの目にとまり、交流や旅の拠点として利用してもらえれば、和歌山に訪れる人の増加につながるはず」と期待をかける。また、JRの取り組みについても「持ち込みの対象区間が拡大することで、ルートの選択肢が増え、沿線地域の魅力をより楽しめると思う。ホテルと合わせて県内いろんな場所におもむき、和歌山を目一杯満喫してほしい」と呼びかけている。

(ニュース和歌山/2023年8月19日更新)