「生涯現役」が叫ばれる現代、スポーツを長く続ける人たちがいる。マスターズ普及に尽力した鴻池清司国際マスターズ競技連合会長(86)と、ラグビーの聖地で開かれるマスターズ花園に出場する和歌山工業OBチーム。それぞれの活動を見た。

 

国際マスターズ 鴻池清司会長 20冊目の著作出版

 日本のマスターズ陸上大会を創設し、いまも現役で競技を続ける鴻池さんが6月以降、相次いで著作3冊を出版した。最新は9月発行の『わが陸上人生~総集編』で、少年時代から多方面にわたる活動をまとめた集大成だ。「これを区切りにする」と話しながら、「早ければ2025年に60歳以上のオリンピック『マスターズピック』を実現し、健康で長生きできる地盤を作りたい」と夢を語る。

 徳島出身の鴻池さんは地元企業で本格的に陸上競技を始め、富山国体に出場。住友金属入社に伴い23歳で和歌山に移る。教員免許取得後に中学校陸上部の指導を始めながら、競技も継続した。

 1977年にスウェーデンのマスターズ世界大会出場をきっかけに、翌年、和歌山マスターズ陸上競技連盟を立ち上げ、西日本陸上競技選手権を紀三井寺競技場で開催。80年には全日本大会を主催したほか、国際大会誘致、マスターズ駅伝開催に尽力し、日本一周マラソンにも取り組んだ。

 教員時代の70年、最初の著作『西和中学の陸上競技』を発行したのを皮切りに、『日本列島走る』『マイウエイ、21世紀にかける夢』『世界選手権20回連続出場記念誌』など、節目ごとに出版を続け、『わが陸上人生』は通算20冊目。参加した大会や設立した団体を振り返った。

 これに先立ち、今年5月の練習中に足を痛めたことで『スポーツに故障はつきものか?』を6月に発行。自らの経験からオーバートレーニングを戒め、休養の大切さを説くと共に、世界情勢や人類の歴史にも言及した。

 さらに、8月には、『歴代新聞記事等年代別トップ掲載特集』『教職員時代のエピソード特集』として新聞記事の切り抜きや、学校でのこぼれ話を盛り込んだ冊子を刊行。

 鴻池さんは「高齢者マスターズを開くことで健康寿命を長くできる。100歳の競技者がいれば、大勢の人を元気づけられる」ときっぱり。今後は、「世のため人のため和歌山のために尽くしたい」と語る。一方で、マスターズの日本人最高齢が105歳だったことから、「まずは、それを超える107歳、さらに、120歳の世界最年長ランナーを目指す」と目を輝かせている。

 冊子は送料250円で送付。詳細は鴻池さんへFAX(073・461・4377)で問い合わせ。

マスターズ花園 リベンジ誓う和工OB

 全国高校ラグビー大会が開かれる東大阪市の花園ラグビー場。かつて聖地を目指したラガーメンの大会「マスターズ花園」に、和歌山代表として和歌山工業OBチームが挑む。昨年の第1回にも出場したが、岐阜の関商工に敗北。今年は10月8日㊐午後1時から、岩手の黒沢尻工業と対戦する。和工元監督で教諭の山下弘晃さん(60)は「去年よりみんな動けている。リベンジを果たしたい」と意気込んでいる。

 マスターズ花園は、55歳以上の前半(20分)と、40~54歳の後半(30分)で対戦。スクラムは押し合わず、60歳以上へのタックル禁止など安全に配慮した特別ルールだ。

 和工チームは、40歳以上22人、55歳以上26人がそろった。8月初めに第1回練習、9月からは毎週末、母校グラウンドで汗を流してきた。

 高校時代に花園を経験し、住友金属でも約15年プレーした陰山逸朗主将(61)は「毎週の練習で感覚が戻ってきています。2つの年代が1つになって戦う」と気合いを入れる。社会人のヒガシクラブ(和歌山市)で活動する高橋真澄さん(46)は「昨年は上の年代が同点でつないでくれましたが、私たちで負けました。今度は自分たちがやる」、橋脇和伴さん(44)は「勝利という忘れ物を取りに行く」と前を向いている。

(ニュース和歌山/2023年10月7日更新)