ギリシャ語で「新しい」を意味するNEO。独自の感覚や才能を存分に発揮し、生き生きと次代を駆ける若者たちの姿は、まさに〝ネオワカヤマ〟です。各方面から熱い視線を集める4人を紹介します。
コスプレで地元盛り上げ ~ 男装家 山本 太陽さん(35)
2021年に日本男装協会を設立。和歌山を拠点にアニメやゲームのキャラクターになりきるコスプレイベントを主宰し、モデルとしても活躍中です。「普段と違う自分になれるのが魅力。特に、男性、女性両方の美しさを表現できるのは男装だと、力を入れています」と目を輝かせます。
日本史が好きで、15歳の時、「歴史上の人物になりたい」と、新撰組の衣装を着たのが人生初のコスプレ。心掛けているのは、若い世代に和歌山の歴史を伝えることです。「温山荘で撮影会を主宰した時には、園の成り立ちや由来を説明しました。ここにしかない時間の流れをきっかけに興味が芽生えれば」と期待をかけます。
13年、14年には友ヶ島でコスプレイベントを開催。砲台跡が「天空の城ラピュタの世界に似ている」と発信したところ話題になり、多くの愛好家が衣装持参で撮影に訪れました。結果、それまで年平均約1万人だった観光客が、19年には約9万人にもなり、その貢献が評価され、和歌山市観光発信人に選ばれました。
「和歌山はコスプレに寛容な印象。それを全国の〝コスプレイヤー〟に広め、撮影と観光を一緒に楽しんでもらいたい」と意気込んでいます。
■Profile…1988年、岸和田市生まれ。親の仕事に伴い17歳から和歌山在住。「コスプレ時の立ち振る舞いに生かせる」と、殺陣師の資格を取得し、不定期でワークショップを開いています。
メジャー4大会制覇を ~ 有功小学校6年 矢田 賢司くん(12)
「自分で考えて打ったボールがピンに寄るのが魅力」とほほ笑みます。
小1でゴルフにのめり込み、4年生で日本ジュニアゴルフ協会の全国大会年齢別初優勝。5、6年でも全国制覇するなど実力を付けてきました。
昨夏はジョイックスオープン12歳以下を制し、プロが出る大会に招待されました。同じ組で回った貞方章男プロから「攻め方を考えている。世界一になれる」と声をかけられたほどです。一方で、プロのパターのうまさに舌を巻きました。
憧れは、「ここぞという時、絶対決めるタイガー・ウッズ」。マスターズ優勝シーンを繰り返し見て、勝負強さに魅せられました。
普段は、「やる方が好き」と週2回はコースに出ます。昨年末には女子プロ大会に招待され73で回りました。今年は2月初め、タイのアジアンジュニアマスターズに日本代表として出場予定。初の海外を前に気持ちを高ぶらせています。また、全国小学生ゴルフ春季大会で優勝すれば、大人のアベマツアー出場権を得られるとあり、集中力を研ぎ澄ませています。
今後は、大人の大会をにらみながら、「プロになり、メジャー4大会を制覇する」と目標を明確にしています。
■Profile…2011年、東京生まれ。幼稚園からクラブを握り、小1の初大会で、ショートコースながらイーグルを出しました。週末は各地の大会に出場するお陰で、切磋琢磨し合う友達が全国にできました。
音楽の力で癒やしたい ~ カナディアンアカデミー10年生 柴田 陽さん(16)
「音楽で人の気持ちを和らげるミュージックセラピーを研究したい」。音楽が人に与える力を実感しての思いです。
3歳でピアノを始め、楽しさに目覚めました。8歳でイタリアのイモラ国際ピアノアカデミー主宰のサマー・アカデミー・オーディションを通過。世界的プロの演奏を間近に、「深く音楽を知ることができました」。
小4の9月に帰国し、和歌山市で住み始めると同時に、ピアニストの宮下直子さんに師事。その後、タディーニ国際音楽コンペティションやショパン国際コンクールで1位。また、ジュニアアンサンブルでは、ソロでなく、他の楽器と音楽を作る楽しさも知りました。
今は神戸からレッスンに通い、宮下さんは「楽しそうに弾き、本番で一番良い演奏する〝規格外の子〟」とベタほめです。
ピアノを通し、「聴いてくれる人に曲のイメージとメッセージを伝える」のが願い。将来は、ピアニストか医師か迷うこともありますが、「音楽で人に感動と喜びを与え、心を癒やす人になりたい」との気持ちは変わりません。
早ければ今秋、ウクライナ避難民支援に当たる父が住むポーランドに行き、「ピアノで避難民を癒やしたい」と描きます。
■Profile…2007年、大阪生まれ。2歳でタイ、6歳でラオスへ。9歳の時、モーツァルト国際コンクールで優勝。好きな作曲家は、「音色や感情の表し方が特別で、自分に一番合う感覚があるショパンです」。
日本の美しさ 世界へ発信 ~ 映像クリエーター 中本 哲平さん(21)
昨夏、日本アセアン友好協力50周年記念のコンペ「ゴールデンブリッジ動画キャンペーン」で、自国の文化や精神性を表現する「ゴールデンモーメント・ビューティフルスピリット部門」において、日本人で唯1人入賞しました。
受賞作品は、毎年7月14日に熊野那智大社で開かれる那智の扇祭りが題材。一昨年、祭りを見て「1700年もの間継承されてきた伝統と、後世に残そうとする人々の情熱を多くの人に知ってもらいたい」と撮影を決めました。ドローンを使っての空撮のほか、カメラをあえて手ぶれさせることで、重さ50㌔以上ある松明の迫力をさらに印象づけました。
2022年から、日本の美しい風景を世界に届けようと、県内は高野山の寺社を、県外では青森弘前市のさくら祭りや、京都嵐山の竹林などの動画をインスタグラムに投稿。「四季折々の景色や、歴史ある建物の厳かな空気感などを映像に収める」と意気込みます。
今後は「熊野古道や白浜温泉といった、地元の素晴らしい観光資源を世界に向け〝WAKAYAMA〟として発信したい」と熱を込めています。各作品はインスタグラム「tepp_eee」のアカウント内で視聴できます。
■Profile…2002年、和歌山市生まれ。「たくさんの人を感動を与える映像を作りたい」と、19歳から撮影や編集などの技術を独学で習得。昨年11月に映像制作会社ヴィンテオを設立しました。
(ニュース和歌山/2024年1月3日更新)