伐採根 和大松下会館北に展示
江戸時代、紀州東照宮へと通じる道沿いに整備された松並木の伐採根3点が和歌山市西高松の和歌山大学松下会館北側に保存展示され、1月26日に披露式が開かれた。和歌浦松並木顕彰会共同代表の藤本清二郎和大名誉教授は「江戸時代からある松並木跡の伐採根出土で、かつての街道は道幅約5・5㍍だったと推定できるなど、文化的、歴史的に貴重。地域遺産として長く守り続けられる」と喜んでいる。
松並木があったのは、現在の高松交差点南から和歌浦口あたりまでの約800㍍。徳川頼宣が父親の家康をまつる紀州東照宮を建立した後、参詣道として1630年代に和歌浦街道を整備した際に植えられた。17世紀半ばに描かれた『紀州若浦之図』で確認できる。
高さ20㍍ほどで連なる松並木は、その見事さから大正15(1926)年に「和歌浦街道ノ松並木」として県史蹟に指定された。しかし、戦争が激しさを増した昭和18(1943)年、指定が解除され、200本近くあった松は軍需木造船の資材用に、すべて伐採された。
以来、約80年を経て松並木を知る人も少なくなった2021年10月、藤本名誉教授が散策中、水軒口交差点の南側で行われていた電線地中化工事現場で根を発見。松並木を現代に伝える貴重な史料として保存を提唱した。
展示は、幅約2㍍もの大きな根など3点。年輪から2点は1800年代前後期に植えられた松と推測される。藤本名誉教授は「地域の人が見やすいよう道路のすぐ横にあります。かつての参詣道に思いをはせてください」と呼びかけている。
(ニュース和歌山/2024年2月3日更新)