大好きなことを見つけ、一生懸命取り組む和歌山の子どもたち。頑張りが「できた!」につながり、よろこびが自信の花を咲かせます。満開の桜のように、笑顔輝く4組の〝キラ星KIDS〟を紹介します。(令和5年度の学年です)

念願の電子ドラム日本一

広瀬小学校2年 安村 実莉さん

 電子楽器の全国大会「ミュージックフェスティバル」が2月18日、東京で開かれ、電子ドラム小学生低学年の部で日本一に輝きました。

 演奏したのは、シンガーソングライター岡崎体育さんのロック『感情のピクセル』。選んだ理由は、「両足を使うツインペダルで、叩くのがおもしろそうだと思ったからです」と目を細めます。

 5年ぶりに観客が入った大会には、各部門合わせてファイナリスト59人が出演。2歳のころから通う音楽教室ヤスムラビクトロン(和歌山市広瀬通丁)の講師、前山貴彦さんは当日の様子を「実莉さんの気迫がいつもと違い、全力で演奏していた。今の彼女の腕前にうまくハマったのかも」とみています。

 賞状とトロフィーを手に

 始めたきっかけは6歳年上の姉、帆夏さん。「楽しそうにドラムを叩くお姉ちゃんを見て、うらやましくなったから」と振り返ります。

 大会1ヵ月前から毎日1時間半の練習を欠かしません。「細かく連打するのが苦手なので、何度も繰り返しました。でも、やっぱり大きく強く叩くのが好きです」

 同大会では3年前が審査員特別賞、昨年は2位と、日本一には一歩届きませんでしたが、今年、念願の1位に輝き「自信が付きました。これからの目標は、6年生になるまで1位をとり続けること」と熱を込めます。

同じ夢に向かう幼なじみ

西和佐小学校6年 栗本 朔実くん 楠見小学校6年 増田 花恵さん

 5歳の時、和歌山市九番丁のダイヤダンス教室で出会った二人。2年生になって一緒に踊ったところ相性が良く、ペアを組みました。以来、ダンスの技術や芸術性を競う競技ダンスの大会にしばしば出場しています。

 きっかけは、栗本くんが「社交ダンスをしているお母さんの影響」、増田さんが「テレビでキンタロー。さんが踊っているのを見て」と違います。それでも年齢とダンス歴が同じで仲が良く、幼なじみだからこその息が合った動きと、バランスの良さが持ち味です。

 得意なダンスは栗本くんが、両腕を組んだ男女がスローテンポな音楽に合わせるスタンダード、増田さんは、エネルギッシュで速い動きが特徴のジャイブです。

  ポーズを決めてパチリ

 栗本くんは「たくさんの人が応援してくれる中、二人で頑張って踊るのが楽しい」。そんなリーダーに対し、増田さんは「真面目でしっかりリードしてくれます」と信頼しています。

 将来の目標は、二人そろって「プロダンサー」。「できればこれからもペアを組み続けて、プロでも一緒にできたら」と話す栗本くんに対し、増田さんは「私たちのパフォーマンスで、見る人にダンスの楽しさを伝えたい。そして、社交ダンスや競技ダンスをやってみたいと思ってもらえたらうれしい」と微笑みます。

勇気 届けられる存在に

伏虎義務教育学校 3年 則村 玖俐生くん

 ダウン症と、足と足首が内側に向き正常な位置に戻せない内反足という生まれつきの障害があります。

 1年生の時、母の麗奈さんが、「習い事をさせるのは難しいかも…。でも、なにかひとつ楽しめる場所をつくってあげたい」と考えます。調べると、知的障害や身体障害の人専門の芸能事務所アヴニールプロダクション(東京)があることを知り、登録。ミュージカル『塔の外のランウェイダンス』に出演しました。

 カタログモデルとしても活躍

 また、モデルとして昨年5月と8月にファッションショーを体験。その姿を見た京都のセレクトショップの目にとまり、カタログモデルに選ばれました。次いで、日本文化を身につけるため、日舞を開始。昨秋、初めてステージに立ち、堂々と舞を披露しました。さらに、昨年11月に撮影、今年3月から全国で順次公開されている、寺島しのぶさん主演の映画『わたしのかあさん─天使の詩─』に出演。特別支援施設に通う生徒役を務めました。

 麗奈さんは「何にでも意欲的で前向き。障害のある子を持つ親として、先天性内反足でも、治療すればモデルや踊りはできるし、ダウン症でも演技ができるんだと、勇気を届けられる存在になってほしい」と願っています。玖俐生くんは「モデルもお芝居も踊りも楽しい」と目を細めていました。

お手玉最高位6段目指す

高松小学校5年 都築 千穂さん

 日本のお手玉の会が認定し、3つのお手玉を両手で操る「3個ゆり」を20秒続けると得られる「3段」。県内で大人を含め10人ほどしか持たない段位に、3年生で合格しました。和歌山のお手玉の会(ななこの会)代表、森勝代さんは「大人でも3~4年かかることもあるのに、1年で合格するなんて」と舌を巻きます。

 お手玉には4歳から取り組んでいます。同会交流会に近所の友達が誘ってくれ、お母さんに抱かれ、2歳上の姉と参加し始めました。

 「一人で黙々と投げるのも、みんなで輪になり、わらべうたに合わせて遊ぶのも好き」と楽しむうち、徐々に上達します。姉の背中を追い、5歳の時に両手2個ゆり20秒を成功させ初段に認定。片手2個ゆり15秒が条件の2段には、2年生で合格します。

 1年間毎日練習し3段を取得

 いまは、両手4個ゆり15秒の4段を目指し奮闘中ですが、「上手くいっても10秒に届かない。まだまだです」。練習したくない時もあると言いながらも、実は小学校卒業直前に4段を取った姉にライバル心を燃やしています。「中学生になるまでに。できれば、姉よりも少しでも早く取りたい」と本音を明かします。

 技を習得し、一段上げるには時間がかかりますが、「いずれは最高位の6段までいきたい」と見据えています。

(ニュース和歌山/2024年3月30日更新)