「誰もが着物を楽しめる」ことを伝えようと4月21日㊐、和歌山市手平のビッグ愛で、車いすユーザーのファッションショー「パラコレクション」が開かれる。障害者や高齢者らがモデルを務め、2021年の北海道帯広を皮切りに、大阪、横浜、名古屋で実施。パラコレ和歌山実行委員会代表で、福祉車いす着付師の宇治田いさ子さんは「どんな人にも着物を着る選択肢を持ってもらいたい」と願っている。
短大時代に被服を学んだ宇治田さんは2017年、着付けを勉強し直していた時に、着物姿で歩く女性と、洋服で車いすに座る女性の2人組を見かけ、「車いすの方も和装ができたらいいのに」との思いがよぎった。その矢先、車いすに座った状態で着物を身に付け、帯も結べる車いす着付け講座を知る。特殊な着物を購入したり、切り分けたりする必要がない点が気に入って受講。18年3月から福祉車いす着付師として活動し、障害者の浴衣ファッションショーを手がけるなどした。
そんな中、フェイスブックでパラコレクションに出合った。主催する日本理美容福祉協会帯広センターの森田浩幸さんに「いいですね」の賛同コメントを送ると、「和歌山でしませんか」と打診があり、開催を決めた。
時期は24年とし、23年5月に実行委を立ち上げた。和装を中心にしたファッションショーで、和歌山と和服の「和」、人の「輪」を取り入れ「with WA~どんな時も輝ける」をテーマに据えた。人の一生を追いながら、七五三や卒業式、結婚式といったライフイベントを留袖や打掛、羽織袴で楽しむ姿を描く。
車いすを利用する3歳から高齢者の男女13人にモデルを依頼した。その中には、宇治田さんが直接スカウトした人がいる。買い物中にたまたま出会った車いすの人がイメージにぴったりで、迷いながらも思い切って声をかけた。聞くと、「成人式は欠席した」と言う。「こんなショーをするので、ぜひ振り袖を着ませんか」と提案。健常者の友人と一緒に出てくれることになった。
出演者になるべく負担がかからないようにするのがモットー。「和装でどんな式典にも出席できる。可能性をあきらめないで」と強調する。
ショーでは最後に、モデルらに生活の中で困ることやうれしかったことをインタビューする予定だ。宇治田さんは「当事者の声を聞くことで、来てくれる人の新しい気付きにつながればうれしい」と期待を込めている。
写真=ポスター撮影時に帯を直す宇治田さん(右)。当事者の負担を考慮し、イメージモデルを起用した。
「パラコレクションin和歌山 with WA~どんな時も輝ける」
4月21日㊐午後2時、ビッグ愛大ホール。無料。宇治田さん(090・2388・2168)。
(ニュース和歌山/2024年4月6日更新)