裸足で砂浜駆ける

 古代オリンピックのように「人間の力だけで地面を走る競技を」との考えの下、和歌山市のフィールドハウス(原山享大社長)と紀の国アスリートクラブ(内田敏夫会長)が3月30日、浜の宮ビーチで「砂浜ダッシュ」と題した100㍍走計測会を開催。小学生から大人まで110人が裸足や靴下で挑戦した。原山社長は「道具に頼らず人間の力だけでランキングする競技。いずれはオリンピック種目に」と夢を描いている。

初めて走る砂浜に戸惑いながらも、裸足で駆け抜けた

 中学時代から陸上競技に打ち込んできた原山社長は、高校、大学とハードル選手として活躍した。10年ほど前、「ビーチバレーやビーチサッカーはあるのに、なぜ陸上はないのか」と頭に浮かぶ。さらに、厚底シューズや合成樹脂トラックなど道具が競技に大きな影響を与える現状に疑問を感じ、「人間の素の力で走る大会をできないか」と思いたつ。

 調べると、ライフセービング協会などが砂浜で競争することはあるが、「正式に100㍍を計測し、公認記録を出しているところはなさそう。実現すれば、世界初なのでは」と考えを巡らせた。

 この日は、ビーチ上にきっちり計測した100㍍レーンを4本設け、本格的なタイム計測器を活用した。十種競技の元県記録保持者、堀井卓さんは13秒94をマーク。「砂浜は練習で走りますが、裸足は初めて。競技場では昨年11秒74でしたから、2秒以上遅くなりました」と息を切らしていた。3月の記録会で14秒19だった南方萌愛さんは16秒34。「靴下で走ったので、なかなか前に進まなかったけど、靴で走るよりは進んだと思う。次は裸足で走りたい」と笑顔を見せた。

砂浜で幅跳びする子も

 また、智辯和歌山中学陸上部の尾﨑健太朗くん、浦井佑輔くんら6人は「砂に足が吸い込まれる」「一歩目で滑りかけ、こけそうになった」など口々に感想を述べながら、「足裏の前の方だけで着地すると沈むので、かかとから着くようにした」など工夫しながら駆け抜けていた。

 今回の100㍍走を手始めに幅跳びや高跳び、砲丸投げなど「競技場でしている種目をビーチでも」と考える原山社長。「やってみて、タイムよりコース計測の方が難しいと分かりました。砂の固さやスタート地点の整備など課題は多いですが、浜の宮から世界へと広げたい」と描く。

 近くビーチ陸上競技連盟を立ち上げる予定で、ルールを整備し、今回のような計測会を重ね、「秋には大会を開きたい」と前を見据えている。

(ニュース和歌山/2024年4月20日更新)