愛される味へ微調整重ねる

 有田川町の地ビール会社ノムクラフトがつくる「オクトパスキング」が2月、横浜で開かれたジャパンブリュワーズカップで1位に輝いた。6部門中最多の140銘柄がエントリーしたIPA(インディア・ペールエール)部門での優勝に、金子巧代表は「醸造者が審査する大会での優勝がうれしい。よりおいしくしようと常に改良を続けてきたことが認められました」と喜びを語っている。

優勝したノムクラフトのメンバー

 同社は2019年の創業からIPAに力を入れてきた。オクトパスキングについて金子さんは「ホップとモルトのバランスが良く、クリアできれいな口当たりで飲みやすい」と説明する。

 同カップには20年から出品しており、昨年はオクトパス~が決勝に残ったものの、入賞は逃した。以来、醸造担当のアダム・バランさんを中心に「元の味は変えず、よりおいしいビールをつくろう」と、ドライホップを入れるタイミングや温度など微調整を繰り返し、味を極めた。

 ビールづくりには、有田川町の環境も大きい。金子さんは「高野山の伏流水はプレーンで純粋。色んなフレーバーに合う」とし、「かんきつやブドウ山椒、梅、キウイなどの副原料が豊富に育つのもメリット」と明かす。

1位になったオクトパスキング

 大会では、オクトパス~のほか、淡色エール部門で同社の「テンググルーブ」が5位に入り、出店ブースはデザイン賞に輝いた。今後はラガービールの種類を増やす考えで、「小さな醸造所なので試行錯誤しやすいのが利点。どんどん挑戦し、より愛されるビールをつくりたい」と意気込む。

 同社のビールは、醸造所隣接のゴールデンリバーや和歌山市雑賀屋町のビーンズほかで味わえる。また、クラフトビールフェスに積極参加するほか、5月11日㊏に同市新通のRICOで5周年祭を開くなど知名度向上に取り組んでいる。

(ニュース和歌山/2024年5月4日更新)