飲食店経営者や建築デザイナー、鍛冶(かじ)職人らが立ち上がり、家具、雑貨、フードなど人気店約40店を集めた屋外マーケット「ARCADE(アーケード)」を7月19日(日)、7月20日(月)、JR海南駅前広場で開く。発起人の木下宗彦さん(38)は「コンセプトは〝ぼくらの理想の商店街〟。イベントを続け、これから人生を切り拓く若い世代に『海南で店を開きたい』『住みたい』と思ってもらえる場をつくりたい」と意気込んでいる。
海南市出身の木下さんは高校卒業後、大阪と兵庫でウェブデザイナーとして働き、2012年にUターン。13年9月、海南駅前に飲食店「アンテナ」をオープンした。店内で音楽イベントなどを行い、若者の交流の場となっている。
人通りの少ない駅前を見るうち「駅前広場はとてもきれいなのに活用されずもったいない。何か街を盛り上げられないか」と考えた木下さん。同じくUターンし、同市船尾で鍛冶工房を営む武田伸之さん(37)が思いに共感し、共に呼びかけ、30〜40代の10人で昨年12月、実行委を結成した。
武田さんは「山も海も近く、古い町並みも残る海南が大好きだが、物足りなさを感じる。田舎でも面白いことはできる。自分のやりたいことに燃えている人に出会う機会にしたい」と話す。
出店は公募せず、県内の老舗や新進気鋭の店に1店ずつ交渉した。フォレスタ、マージナル、ボタニカなど人気インテリアショップをはじめ、コーヒースタンド、若者向けのアパレルショップにブックカフェ、パン店、こだわり野菜やハーブの販売と幅広いジャンルをそろえた。
イベントの要は、プロによるおしゃれな空間づくりだ。商店街に見立てた全長22㍍に渡る手づくりの「アベニュー」内には15店がずらり。メンバーで和歌山市の設計デザイン事務所ザ・オフィスの赤土誉さん(34)らが設計し、武田さんが細い鉄で骨組みを作った。
内部に柱を入れず開放的に見えるよう工夫し、壁面はフォークリフトで搬送する際に使う木の台を積み重ね、植物を多く配置する。赤土さんは「農機具を置くような、どことなく和歌山にマッチした雰囲気にしました」。5月に田辺市で3分の1規模のアベニューをつくり、プレイベントを実施。6店が出店し、200人以上でにぎわった。
イベントは3年間続け、来年以降は職業体験ができる「アカデミー」や、周辺の空き店舗と起業を考える人とのマッチングなどの要素を加えて展開する計画。木下さんは「イベントを機に街を歩いてもらいたい。海南がゆくゆくは〝わざわざ行く街〟になっていけば」と期待している。
午前11時〜午後9時(7月20日は6時)。7月19日午後7時からヒップホップユニット「スモールサークルオブフレンズ」の無料ライブあり。イベント詳細はHP(http://www.arcadeproject.net)。
写真=田辺で開いたプレイベントには200人以上が訪れた
(ニュース和歌山2015年6月27日号掲載)