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 海南市と紀美野町を結ぶ国道370号そばで、巽小学校・中学校の子どもたちや道行く車を16年間見守ってきた木彫りの熊が痛々しい姿で横たわっており、心配する声が上がっている。現在、壊れた個所を〝治療中〟で、まもなく再び元気な姿にお目にかかれそうだ。

 場所は海南市阪井。木材加工会社「井上」の井上文雄社長が20年前、バンクーバーで開かれたオークションで落札したもので、高さ3㍍、重さ3㌧。会社の目印にと国道に面した資材置き場の一角に置き、いつしか「くまちゃんの広場」や「くまちゃんの信号」と呼ばれ、周辺のシンボルとして愛されていた。

 6月上旬のある日、足と木の台の連結部が折れ、片耳が欠けた状態で倒れているのが見つかった。大きな衝突音を聞いたとの声や、体についた傷跡から、夜中にトラックがぶつかり、そのまま逃げ去ったとみられる。近隣の女性は「かわいそう。登下校の子どもたちも心配そうにくまちゃんにふれています」。

 現在は足下をコンクリートで固定し直すように進めており、井上社長は「『今はおなかをすかせて寝てるんやで』と言っています。木が朽ちてきておりどうしようかと思ったが、皆さんに残してほしいと言ってもらえた。7月中には復活できるはず」と話している。

(ニュース和歌山2015年6月27日号掲載)