《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手外科専門医・足の外科認定医
整形外科専門医
谷口 泰德 副院長

 大変稀ですが、手を使う農作業やゴルフスイングなどのくり返しで、小指を曲げる腱が急に切れて指が曲がらなくなることがあります。このケガは屈筋腱皮下断裂(くっきんけんひかだんれつ)と呼ばれます。若い人より高齢者にみられる外傷です。手をくり返し使うことで手首の骨で腱がこすれて摩耗し、弱くなっていきます。腱が擦り切れて完全に切れると急に指が曲がらなくなります。手指に痛みや腫れは出ません。痛みがないので、そのまま手を使い続けて薬指の腱も切れて、指が2本曲がらなくなって病院に来られる方もいます。

 屈筋腱皮下断裂のその他の原因にはリウマチ、痛風、骨折後の手首の骨の変形などがあります。治療には保存的治療はありません。指が動せるようになるためには手術が必要となります。切れた腱の断端はバサバサで腱同士を縫い合わせることはできませんので、高度の専門的な手術治療を行います。腕にある他の腱を採取して、採取した腱を切れた腱に移植する手術と、切れた腱の端を他の正常の腱に移行して縫合する手術があります。手術後一定期間、手を固定してから専門的なリハビリの運動訓練を3ヶ月くらい行います。詳細は手外科専門医にお尋ねください。

(ニュース和歌山/2024年10月20日更新)