鞆渕に屋外サウナ付き宿泊施設

 自然豊かな紀の川市鞆渕地区に10月12日、屋外プライベートサウナを備えた一棟貸し宿泊施設「log & sauna和(なごみ)」がオープンした。取り組んだのは、和歌山市出身の麳(こむぎ)聖貴さん(写真左)と大江一生さん(同右)。東京で会社員生活を送るうち、将来への疑問を抱いて起業した。「日々の仕事に頑張っている人たちが自然に還(かえ)り、『何もないことの贅沢』を家族や友達と感じて欲しい」と思いを込めている。

 和は、緑に囲まれた上鞆渕の高台にある。築27年のログハウスをリフォームし、自然の暖かさを感じてもらおうと、リビングに薪ストーブを設置。また、屋外にはウッドデッキを敷き詰めてバーベキューテラスとし、一角にバレル(樽)サウナを据えた。大江さんは「サウナは、紀州ヒノキあかね材と呼ばれる虫食い跡が残る木で造りました。紀州材を使うのは、地元の貴重な資源を活用するこだわり」ときっぱり。

 また、水風呂には近くの沢から引いた水を入れ、自然を満喫できる仕掛けを準備した。

 2人は桐蔭高校野球部の先輩後輩で、リクルートに勤務。ただ、望んだ東京勤務だったが、大江さんは「将来もこれで良いのか」との気持ちが湧いてきた。

 そんな中、3年前に再会し、沸々とした思いをぶつけると、2人とも同じ悩みを感じていると分かり、「じゃあ、一緒に」と意気投合した。

屋外に据えたバレルサウナとウッドデッキ

 考えたのは、趣味のサウナをベースに、アウトドアを味わえる宿泊施設。都市部のビジネスパーソンがキャンプやグランピングを楽しむ姿に商機を求めた。麳さんは「地元和歌山への貢献」と「顔が見えるビジネスの実現」と思いを口にする。

 本格始動は2人が大阪勤務となった2022年春、会社に勤めながら起業した。「大阪や神戸から2時間以内」を念頭に、休日を中心に和歌浦や加太、高野山と物件探しに奔走。50軒以上も見て回り、やっと見つけたのが、このログハウスだ。

 鞆渕地区は、過疎化が進む限界集落だが、それもメリット。2人は「高台にあるので集落を見下ろせ、ホタルがメッチャきれい」と目を輝かせる。また、食事は提供しない。「地元食材でバーベーキューを楽しんでもらえれば、それも地域貢献になる」と思うからだ。

 今後は「紀の川市でのフルーツ狩り体験や高野山のナイトツアーなど地域との共同企画を充実させたい」と描き、「いずれ自然の中で楽しめる施設を他地域にもつくり、和歌山ブランドとして展開したい」と望んでいる。  

 宿泊48000円〜、デイユースも可能。申し込みは「和」HPから。

(ニュース和歌山/2024年11月9日更新)