「こーい、こーい、こーい」。かけ声と共に手拍子がグラウンドに響き、しばらくすると「ボンッ」とボールが打ちあがる音。グランドソフトボールは、手拍子やボールが転がる音を頼りに、視覚障害者がボールを投げ、打って、走る。和歌山県内で唯一、和歌山盲学校(和歌山市府中)を拠点に活動するのが県代表チームで、選手15人の年齢層は22~66歳と幅広い。家本健吾主将(22)は「若手は勢いを、ベテランは技術とメンタル面でチームを支えます。地元で開かれる全国大会でまず1勝を」と意気込む。
盲学校の卒業生が中心。池田秀夫選手(64)は1970年に近畿大会で優勝を経験。「体力が落ちて思うようにプレーできないのが歯がゆいですが、出る以上は良い試合をしたい。若いころから負けず嫌いなところは変わりません」と笑う。
試合中はプレーに影響が出ないよう、応援などの音は一切禁止で、静寂に包まれた中でゲームが進む。池田選手は「全盲者と弱視者がいかに助け合ってプレーできるか、この競技ならではのルールによるかけひきが見どころ」。家本主将は「かすかな音を聞き分け、ボールに集中する選手の緊張感が伝わる熱いスポーツです」と魅力を語る。
選手兼監督の鍵井和浩さん(49)は「他府県のチームにうらやましがられるくらい、アットホームで仲間のつながりが深いチーム。世代で身体能力に差があり、練習メニューに悩むことがありますが、チームワークはできてきている。メンバーそれぞれの個性を生かし、大会に臨みたい」と描いている。
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全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」(10月24日〜10月26日)に出場する県出身の選手やチームを毎週土曜号で紹介します。
(ニュース和歌山2015年7月4日号掲載)