「パンチがありながらもスッキリとした、どれだけ食べても飽きのこない一杯です」と胸を張るのは、2月に和歌山市湊にオープンしたラーメン店、「おかんとおとん」の髙橋吾一さん(69)と妻の美千代さん(67)。ハンバーガー店の駐車場に建つ屋台は、どこか昭和の空気が漂います。
なじみある味を
──店名が特徴的です。
美千代 同じ敷地にあるブーズバーガーの店主は私たちの息子です。「老後、働く場所に困らないように」と、店内での作業が難しくないラーメン店を造ってくれました。
──こだわりは?
吾一 私が昔から食べなじんでいた、〝車庫前系〟を基本に、いくつかブレンドしたしょうゆベースの豚骨スープです。じっくりうま味を出しながらも、濁ってしまわないよう、弱火で長時間煮込んでいます。市内のラーメン店と息子が共同開発したもので、スッキリとした口当たりです。
美千代 加えて弾力のある食感が特徴の自家製中太めんは風味が良く、しょう油ラーメンにぴったりです。またチャーシューは、元々フレンチの料理人だった息子がその技法を使い、オーブンで8時間かけて火を入れています。さらに、メンマはすすった時にめんと一緒に口に入れられるよう、あえて細長くカットしています。
吾一 和歌山ラーメンの特徴でもある細めんではなく、中太めんにしたことで、もちもち感とメンマのシャキシャキ感を同時に楽しめるんですよ。
──ほかにどんなメニューが?
美千代 和歌山ラーメンには欠かせないサバずしを出しています。目の前でバーナーであぶってから提供しているので、食べるとサバの脂が溶け、口の中で香ばしさをふわっと感じられます。
幅広い世代に
──敷地内にうどん店や居酒屋があります。
美千代 各店に注文できるのはもちろん、別の店からもラーメンを頼めます。ショッピングモールにあるフードコートのイメージです。何を食べようか迷っている時、「あそこに行けばおいしいものが食べられる」と、選んでもらえる場所になれたらうれしいです。
──これまでも飲食関係の仕事を?
吾一 いいえ、20年余り前まで、精密板金の工場を営んでいました。その後も同業種の仕事をしつつ、息子の店を手伝ってきました。飲食は初めてで、現在も平日の昼は工場で勤務し、夜は屋台に立っています。いわゆる二刀流ですね(笑)。
──今後の展開は?
吾一 夏にトラックの屋台を出せないかと考え中です。私たちは息子が作ったこのラーメンは、「幅広い世代に愛される味だ」と自信を持っています。まずは、この味を広めていきたいです。
【和歌山屋台らーめん おかんとおとん】
和歌山市湊1827-4
営業時間 11:30〜14:30
17:30〜22:00
定休日 月曜、火曜と荒天時
電話 073・488・6312 (ブーズバーガー内)
(ニュース和歌山/2025年3月15日更新)