悪質・危険な自転車運転者に対する講習制度開始から約2ヵ月。車道逆走や、傘さし、スマホ操作運転は日常茶飯事で、事故が後を絶たないため、規制が厳しくなるのは当然でしょう。
気になるのは、ハード面の整備が追いついていないこと。自転車は「車両」ですから、これまでも車道走行が原則でした。しかし、現実には、通勤、通学、買い物で多くの人が乗る〝ママチャリ〟だと、大抵は歩道を走らなければ、危なくて仕方がない。和歌山市内も主な道路は歩道走行が可能ですが、すべてが対象ではありません。法を厳格に適用したがために自転車が巻き込まれる事故が増えてしまえば、元も子もないのです。
確認すると、県内の危険運転による検挙数は、6月はゼロ。県警は「自転車のルールを知らない人も多い。徹底が先決」と現実的な対応をしたようです。また、6月の自転車がらみの事故件数は過去5年間で最低となり、「法改正による抑止効果があった」と分析しています。
さて、規制強化されたばかりですが、エコで健康的な乗り物として自転車の役割は大きい。県や和歌山市などもその利点を生かすため、サイクリングロード整備を進めています。
そこで提案。規制を緩和し、2人乗りを許可できないでしょうか。ハンドルやペダルが2つずつあるタンデム(2人乗り)自転車で一般公道を走れるのは、8月解禁の群馬が10県目。長野は主に観光用として古くから、兵庫は7年前、視覚障害者がサイクリングを楽しめるようにとの運動が実を結びました。
和歌山は有田川町のわずか5㌔の専用道のみOKですが、できることなら、タンデム車の一般公道走行はもちろん、もっと手軽に使えるよう、幼児用座席の大人版が実現すればと思います。つまり、大人2人の重さに耐えられるフレームに、後ろの人が体を支えるための持ち手とステップ、シートを取り付けられ、1人乗りでも2人乗りでも違和感なく使える自転車です。
そんな自転車で知人を迎えに行ったり、歩くのが辛い人を乗せられれば、それこそ手軽でエコ。もちろん、安全走行できる道路整備は必要ですし、運転者の安全面に不安があるなら、許可制を取っても良いでしょう。
「2人乗り」=「危険」→「禁止」とするのは簡単。ただ、自転車を活用する上で、その幅を広げるためにも、規制以外の方法も考えたいのです。(小倉)
(ニュース和歌山2015年7月25日号掲載)