【秀吟】
立ち止まりふと生き様を振り返る 木下 侃大
ふと不安年金管理誰がする 定松 宏枝
ふと気付くパラソル乗せたバスは行く 佐藤 まき
ふと不安縄太くして太くして 中西 宏夫
ふとこれを無記名にして吐く本音 山裾かず子
ふと触れた手の温もりに癒される 福井 菜摘
ふと亡父の声が母さん頼むよと 根田よしこ
テンションが上がりふと出た国訛り 喜田 准一
発想を切り替え目から鱗落ち 山東日出男
ふと読んだコラムに生きる覇気貰う 石田ひろ子
沈黙を破る言葉がふと浮かぶ 北山 絹子
天花粉母の背中をふと思う 川上 智三
ふと思う私が遺すものは何 久嶋美代子
ふと思うあの時言えば違う道 橋本 竜
ふと過ぎる思いはあの日あの場面 北原 昭枝
真夜中の魔女が囁きふと迷う 土屋起世子
ふと向きを変える人には距離をおく 岡本 昇
ふと思う無沙汰の方の安否など 田中 みね
お遍路に出ようと思う時がある 次井 義泰
【寸評】
ふと気付くパラソル乗せたバスは行く 佐藤 まき
評 バスにパラソルを忘れたことを詠まれたのでしょう。「パラソル乗せた」と、擬人法がこの句を活性化させた佳句に仕上げています。
ふと思う私が遺すものは何 久嶋美代子
評 皆さんは何を遺せますか。財産? 子孫? それもよいでしょうが、案外心に遺るものはその人の言葉や句ではないでしょうか。
※9月の兼題は「スポーツ」。9月10日(木)必着。1人3句まで。
〒640・8570ニュース和歌山編集部「和歌山三幸川柳会」係
(ニュース和歌山2015年8月15日号掲載)