ヒップホップやR&B、ポップスを歌う和歌山市出身のSONIC(写真右)が8月5日、アルバム『SUNSHINE』でメジャーデビューを果たした。前半は幅広い世代が聴きやすいよう意識した一方、後半は「人目を気にせず、自分のしたいことをさせてもらいました」とSONIC。早稲田大学大学院法学研究科後期博士課程に在籍しながらの音楽活動だが、「メジャーデビューで舞台が広がり、一層のパフォーマンスと覚悟を求められる。ここからが勝負」とまっすぐ前を見据える。
中学、高校時代はギターを手に、JR和歌山駅前でフォークデュオのゆずや19の曲を歌った。16歳でヒップホップグループ、ラッパ我リヤに魅了され、ラップの勉強を開始。大学進学を機に東京へ移り、ライブ活動を始めた。インディーズではこれまで3枚のアルバムを発表している。
メジャーデビューは30歳になった今年6月に決定。1ヵ月で曲を仕上げ、7月にレコーディングを行った。全12曲とも作詞を担当。「発売は8月、イメージするのは海。海と言えばふるさと和歌山。海沿いの道をドライブしながら心地よい曲を作るなら…」と、前半5曲は有田川町在住のMagic Art(写真左)に作曲を依頼した。
「夏っぽい曲をということで、意識したのは爽快(そうかい)感とグルーブ感(乗りの良さ)。1980年代、90年代のポップスのテイストを入れ、40代、50代には懐かしく、若い世代にとっては新鮮な曲になりました」とMagic Art。一方、アーティストの葛藤を描いた『LAST GAME』を含む後半7曲はメタル、ロック、ジャズなど様々なテイストを折り込んだ。
イギリスと中国への留学経験があり、英語、中国語が堪能なSONICは、早稲田大学大学院で修士号を取得し、北京大学の学位も取るなど異色の経歴を持つ。ファッションモデルとしても活躍し、今年3月の第6回東京ボーイズコレクションではトップでランウェイを歩いた。9月10日(木)の第7回、今度は同じ舞台にアーティストとして上がり、ライブを行う。
「中国語を生かし、来年はアジアツアーを計画中。和歌山で音楽を志す若者の手本になれれば」。さらに「伝えたいのは、夢があるならあきらめるなということ。僕自身もあきらめようと思ったことは1000回ぐらいあるし(笑)、まだ夢を追っている段階ですが、こうして1つ形になった。曇り空でも日は差し込むし、虹色の橋も出ます」──。若い世代へのエールを歌に込める。
アルバムは配信サイト「music.jp」でダウンロード可。2000円。また、アルバムタイトルにもなった曲『SUNSHINE』のPVは動画サイトのユーチューブで見られる。近況はSONICフェイスブックで。
(ニュース和歌山2015年8月22日号掲載)