心臓に近い動脈の一部が欠ける大動脈弓離断症がある宮前小6年の林弥生愛(やよい、写真前列右)さんが、小学校生活を振り返った写真絵本『一期一会~わたしのおもい』を夏休みの宿題で作成した。弥生愛さんは「小学校最後の運動会では組体操ができた。誰一人欠けても完成できなかった。小学校に通え、友だちや先生に出会えて本当によかった。6年間で得た経験があればどんなことがあっても大丈夫」と目を輝かせる。
弥生愛さんは生後2日で病気が判明し、左右の心室の仕切りが一部ない心室中隔欠損症も見つかった。心室の間に壁をつくり、人工血管を入れる難手術を3度乗り越え、術後、食事や運動は周りの子と同じぐらいできるようになり、小学校入学も実現。3ヵ月に1度受ける病院での検査時以外、6年間はほぼ休まなかった。
一番の思い出は水泳の授業を受けられたこと。「冷たい水の中でみんなと泳げて楽しかった」と弥生愛さん。母の絵理香さん(同後列右)は「なかよし学級では下級生の面倒を見て、人見知りだった性格が明るくなりました。家では見せなかった一面を見せてくれることがあり、成長を実感します」と目を細める。
写真絵本は、こうした思い出の数々を文章と写真で振り返り、気遣い、支えてくれた家族や友人への感謝の気持ちを込めた。作品は同小の図書室に寄贈する予定で、絵理香さんは「他府県にも同じ病気を抱え、学校へ行くのをためらっている子がいる。もし将来、同じ境遇の子が入学してきたら力になれる」と話す。
近々、人工血管を子ども用から大人用にかえる手術を受ける。9年ぶりの手術に不安はあるが、弥生愛さんは「同じ病気の子たちの希望になりたいし、先に天国へいった友だちの分も頑張りたい。一回きりの人生。これからとこれまでの全部の出会いを大切にしていきたい」と希望を語っている。
(ニュース和歌山2015年8月29日号掲載)