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 和歌山市駅前通りの一部を歩行者天国にして緑あふれる憩いの場を設ける「市駅〝グリーングリーン〟プロジェクト」が9月12日(土)、9月13日(日)に行われる。昨秋発足した「市駅まちづくり実行会議」の主催で、企画する和歌山大学観光学部の永瀬節治准教授は「集客イベントではなく、将来のまちのシミュレーションとして行う社会実験。長いビジョンで見ていきたい」と力を込める。

 まちづくり実行会議は市駅地区商店街連盟、城北地区の7自治会、和大永瀬ゼミで昨年10月に立ち上げた。2ヵ月に1回、ワークショップを開き、地域が抱える問題や将来像を模索してきた。

 駅ビルの建て替えや市民図書館の移転といった活性化構想が和歌山市と南海電鉄から今年5月に発表されたのを受け、6月に市民参画の議論の場を求める要望書を尾花正啓市長に提出した。

 今回のプロジェクトは市道和歌山市駅前線の2車線約150㍍でオープンカフェやマーケットを開いて歩行者天国にする試み。ピクニック気分で寝転び、くつろぐ場所を設けるため、道路上の100平方㍍に芝生を敷くのが目玉で、6月から和大で芝を育てている(写真 この記事下)。また、市堀川に船を走らせ、乗船体験することで水辺を見直すきっかけをつくる。

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 市民図書館の移転を受け、駅前から本の文化を発信しようと、通りに面した空き店舗で学生がブックカフェを運営。親子で楽しめる工作ワークショップも行う。和大3年の小澤秀人さんは「周辺は子どもが遊ぶような場所がないので、子ども向けのイベントをし、家族で過ごしてもらいたい」。

 地域住民や商店主も積極的にかかわる。8月5日のワークショップは過去5回中最多の51人が参加し、班に分かれ、マップを前に「周囲を飾る鉢植えを借りられる家はないか」「観光客に案内できる人が必要では」と、アイデアを出し合った。当日までに周辺の落書き消しやゴミ拾いに一役買う。

 空き店舗を提供する木下伸之さんは「このあたりは車も人も通行量が多かった。こういった実験を重ね、将来的に周辺で商売に挑戦する若い人が増え、また人が来るようになれば」と期待する。

 9月12日は和歌山青年会議所が市駅ビルへ映像を投影するプロジェクションマッピングと、市駅前広場で飲食物販売を行い、9月13日はぶらくり丁で毎月開かれるポポロハスマーケットが市駅前通りへエリアを広げるため、連携し人の流れをつなぐ。

 市駅地区商店街連盟の森下幸生会長は「歩行者天国は初の試み。周辺にはまだ議題に上っていないエリアがある。実験後もワークショップを重ねていく」。永瀬准教授は「『将来本当にこういう場所になったらどう思うか?』という意見を来場者に募り、アイデアを取りまとめたい」と話している。

 9月12日は午後3時〜8時(プロジェクションマッピングは7時半と8時半)、9月13日は午前11時〜午後4時(ポポロハスマーケットは午前11時〜午後4時)。

写真 この記事上=社会実験が実施される市道和歌山市駅前線

(ニュース和歌山2015年9月5日号掲載)