みなかた クリニック 南方 常夫院長
A. 胃潰瘍や胃がんにヘリコバクター・ピロリ菌が関与していることが明らかになってきましたが、ピロリ菌陰性であっても胃疾患を発症する方は少なくありません。これらの胃疾患に関係していると考えられているのが、ピロリ菌ではないヘリコバクターです。約30種類の菌種が見つかっており、総称して「ヘリコバクター・ハイルマニイ」と呼んでいます。
特徴は、①ピロリ菌は霊長類にしか感染しないが、ハイルマニイは犬、ネコ、豚などにも感染する人獣共通感染症である。②ピロリ菌より大きい螺旋菌である。③ウレアーゼ活性が弱陽性か陰性であるため、通常のピロリ菌検査ではほぼ検出されない。④確実な判定方法はPCR法となるが、実施できる施設が限られている。
最近の調査によると、ピロリ菌陰性と診断されたにもかかわらず、胃炎で60%、鳥肌胃炎で71%、MALTリンパ腫で60%、胃潰瘍で33%の患者さんからハイルマニイが検出されました。また、検出された方のうち、ペットを飼っている割合は20%でした。一方で、ピロリ菌があるとハイルマニイに感染しにくいのですが、ピロリ菌を除菌するとハイルマニイに感染しやすくなる可能性も指摘されています。
(ニュース和歌山2015年9月26日号掲載)