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 ♪ウサギ〜のマークのイズミ〜ヤ〜パ〜ン♪ 40代以上ならこのCMソングに聞き覚えのある人は多いのでは? 1997年に廃業したパン製造会社、イズミヤパンの味を守り続ける店が和歌山市湊にある。焼きたてのパンの店「ローマ」のチーフ、楠見充崇さん(44)はイズミヤパンに10年間勤務し、菓子パン工場の責任者も務めたパン職人。店では楠見さんの優しい笑顔と懐かしの味が出迎えてくれます。(文中敬称略)

懐かしの4種類

——山切り食パン形の外観が目を引くお店です。

楠見 オーナーのアイデアです。店はちょうど20年前、1995年のオープンです。私は中学卒業後、堀止にあったイズミヤパンに就職し、定時制高校に通いながら、パン職人として働いていました。食パン工場で9年、その後、菓子パン工場の責任者として1年半。イズミヤパンが廃業した97年、こちらの店が職人を募集していると聞き、来ることになりました。

——たくさんのパンが並んでいますが、イズミヤパンの人気商品だったものもありますね。

楠見 全体では80種類以上。イズミヤパンでも作っていた商品は、ミカンとパイン、クリームが入った「フルーツパン」、チョコ入りの「スイートチョコ」、魚肉ソーセージを入れた揚げパン「ソーセージドッグ」、フォンダン(粉砂糖を溶かしたもの)がかかった30㌢ほどの「大ロシア」の4つです。イズミヤパン時代のレシピを元に作っていますが、当時より材料は高品質ですので、懐かしさを残しながら、よりおいしくなっています。

——その懐かしい味、求める人は多いのでは。

楠見 約20年間、ずっとイズミヤパンの味を探し、最近、インターネットで見つけたと寄ってくれた方がいました。病気で節制が必要ながら、「いろいろ食事を我慢してでも週に1回、ここのパンを食べるのが楽しみ」と言ってくれる60代の女性もいらっしゃいます。一方、イズミヤパンが好きだったお母さんのために立ち寄ったのをきっかけにファンになってくれた20代の女性など、イズミヤパンを知らない世代の方も来てくださいます。

ファンが復活祭企画

——個人的に思い出深いのは、長いパンにミルククリームが入った「イタリアパン」なんですが…。

楠見 幼いころにイズミヤパンを食べていた方からは「あのパンは復活しないの?」とのお声をよくいただきます。レシピは全て残していますが、材料が当時と変わり、中にはもうない物もある。昔と同じ味だと納得したもの以外は売りたくないんです。ちなみにイタリアパンは最近、復活に向けて取りかかり、パンの方は完全に再現できました。あとはクリームの調合次第。1ヵ月以内に販売できるかと思います。

——それは楽しみです!

楠見 「和歌山の自慢を共有しましょう」というフェイスブックのグループページでうちの店が話題になり、11月1日(日)に「イズミヤパン完全復活祭」というイベントを企画してくれました(3面に詳細)。大変ありがたいことです。お客さんから「イズミヤパンの味を守り続けている」と言ってもらえた時が一番うれしい。実は母も私を妊娠するまでイズミヤパンに勤めていたそう。母のお腹にいるころから口にしていたパンですから、縁があるんでしょうね(笑)。イズミヤパンがあったことの証として、シンプルでありながら、昔ながらの味を提供し続けていきたい。

【焼きたてのパンの店 ローマ】

和歌山市湊1825-3
☎073・455・8133
営業時間 7:30〜19:00 定休日 月曜日

【読者プレゼント】フルーツパン、スイートチョコ、ソーセージドッグ、大ロシア、そしてローマスペシャル(食パン)の5個をセットで10人にプレゼント。応募方法は2015年10月14日号、3面参照。締め切りは、2015年10月21日(水)です。

(ニュース和歌山2015年10月14日号掲載)