伏虎中跡に移転予定の和歌山市民会館に関する動きが活発だ。演劇や音楽関連の2団体が今春、それぞれの理想を市に要望。市は今夏5回のワークショップで意見を拾い、先週末には市民団体が講演会とワークショップを開いた▼講演会では、10年前に長野県茅野市に完成した、ホールと美術館などの複合施設である市民館を例に、計画段階から市民が主体で、行政や専門家はサポートにまわったと工学院大学の倉田直道名誉教授が紹介した▼かつては行政が整備した会館を、「使わせてもらう」図式。一方、茅野市民館は、活用のために必要な設備や規模の検討を重ねたことで、市民に「自分たちの施設」との意識が高まった▼倉田氏は「市民がかかわり、案が良くなった」と強調しながら、「形式的な市民参加は市民と職員に失望感が広まる」と指摘した▼和歌山市のワークショップは、「1000席と500席のホールを検討」と市が伝えて終了。今後、市民の思いはどんな形で反映されるのか。目が離せない。 (小倉)

(ニュース和歌山2015年10月31日号掲載)