あまくておいしいみかん、ありがとう──。12月に入り、和歌山県庁にお礼の手紙が続々と届いている。送り主は東日本大震災で大きな被害を受けた福島、宮城、岩手の3県の小学生たちだ。9~10月に開かれた紀の国わかやま国体・大会の東日本大震災復興支援事業で、和歌山県が東北3県の全小学生にみかんを贈ったことへの感謝の気持ちがつづられている。
震災が起きた2011年の山口国体から毎年、開催県が支援事業を実施。これまで、東北3県の選手団の移動費を一部、開催県が寄付してきた。今年は仁坂吉伸知事が「免疫力を高め、かぜの予防に役立つ和歌山らしい取り組みを」とみかんのプレゼントを提案。糖度11度以上の上級品を11月17日から順次発送し、1263校、約28万人に給食で配布した。
礼状が届き始めたのは12月初旬。初めは校長が代表して書いた手紙だったが、日を追うごとにクラス単位や子どもの親から、ハガキとメールが寄せられるようになった。「和歌山のみかんを食べるのは初めて。甘くてジューシー」「4年経った今も放射能で苦しみ、不明家族を探している人がいます。心の傷はまだ消えていませんが、こんなに遠い県からおいしいみかんを送ってもらい、本当にうれしい」との言葉に、みかんの形に切り取った工作やイラスト、おいしそうにほお張る子どもたちの写真が添えられている。
これまで57校、356通の手紙が寄せられている。県総務企画課の稲葉信課長は「反響の大きさに驚いています。震災を忘れず、被災地を支援しようとする気持ちを届けることができた。和歌山を知ってもらうきっかけにもなりました」と笑顔を見せる。
手紙の一部は国体ホームページで公開。
写真=感謝の気持ちが詰まった礼状が届いている
(ニュース和歌山2015年12月26日号掲載)