兼題「お年玉」で募集した三幸お正月川柳会。たくさんの投句ありがとうございました。寄せられた109句の中から入選句を発表します。選者・評は和歌山三幸川柳会主幹の三宅保州さん(写真)です。
今回、「お年玉」にまつわるほのぼのとした句が多かったのですが、「お孫さんにお年玉をあげる」という発想の句では平凡になります。一方、「難民の子等にあげたいお年玉」というすばらしい句が3句もあって"相討ち"になったのは残念でした。また、タブーである駄洒落や語呂合わせの句がほとんどなく、文芸的な川柳が多かったのはすばらしいことでした。
選者吟・生きているのが神仏のお年玉
一席
飢餓の子に平穏というお年玉 山東日出男
【評】 難民や飢餓の子の窮状を見聞きするたびに心が痛むおり、せめて平穏という平和なお年玉に恵まれることを祈るという、温かい気持ちが伝わってくるすばらしい句です。
二席
お年玉お札がいいと泣き出す子 定松 宏枝
【評】 今までのワンコインのお年玉では納得せず、紙幣を欲しがるという苦笑を誘われる句ですが、それだけお子さんが成長されているという喜びを詠まれた佳句なのです。
三席
就職が出来た孫からお年玉 宇野 幹子
【評】 孫が就職して真面目に働いていることが頼もしいところへ、お正月には給料の中からお年玉までくれたという、その喜びが伝わってくるほのぼのとした佳句です。
秀 句
バイトした息子がくれたお年玉 酒井 純子
今年また娘からお節のお年玉 佐藤 まき
手刀を切って年玉もらう孫 米澤 俶子
予定立て通帳提げて孫が来る 上野 寛
就職しお返しをするお年玉 磯部 義雄
初めてのボーナス祖母へお年玉 石田ひろ子
母さんに一筆添えてお年玉 上野美枝子
お年玉孫増える度額減らす 根田よしこ
また背丈伸びて増額お年玉 古久保和子
お年玉の袋を犬が嗅いでいる 中西 宏夫
図書券ですますわたしのお年玉 川上 智三
無事と言う最後に一つお年玉 川端 章子
入 選
お年玉マイナンバーを擦り抜ける 長谷川葉子
難民の子にもあげたいお年玉 西川 千鶴
年玉でちゃっかり予算組む子供 上村八重子
お年玉もう買う物を決めている 玉置 当代
お年玉にやんちゃもペコリかしこまり 楠見 章子
腕白も神妙になるお年玉 武本 碧
お年玉貰う時だけ子は素直 平田 元三
こつこつと溜めて飛んでくお年玉 田中 みね
お年玉開けてびっくり諭吉さま 北山 絹子
ポチ袋立派なわりに野口さん 丸山 孝雄
お年玉しっかり握るもみじの手 山裾かず子
宜しくと今年は猿にお年玉 白井三重子
遠慮して年玉もらう子沢山 楠原 富香
卒寿です父にあげたいお年玉 林 文彦
反抗期笑顔にかえるお年玉 瓦野 正美
お年玉恥ずかしうれしこの歳で 木下 侃大
ポケットに孫の数だけぽち袋 土井 弘美
お年玉あげる幸せもらう幸 中原美智子
今年また条件付きのお年玉 尾家 章夫
孫が来る正月前のお年玉 KK1973
初孫に悩む金額お年玉 赤井 正弘
初孫の手をとりそっとポチ袋 富澤イツ子
ポチ袋選ぶ楽しみ孫の顔 湯上美智子
さし上げた頃懐かしいお年玉 実宝はるみ
(ニュース和歌山2016年1月3日号掲載)