和歌山公園動物園開園100周年を記念したシンポジウム「未来の動物園」が11日、和歌山市三沢町の中央コミュニティセンターで開かれた。
お城の動物園は1915年に整備計画が発表され、その後開園。戦時中は一時封鎖され、70年に改装された。日本にわずか3園の城郭敷地にある動物園で、近年は市民団体が盛り上げに一役買い、来園者数を伸ばしている。シンポは園の未来を語り合おうと同市が主催。約90人が集まった。
最初に天王寺動物園名誉園長で、近畿大学生物工学技術研究センターの宮下実教授が講演した。動物園の歴史を振り返り、日本では、戦時中、各地の動物園が動物を殺さねばならない困難な状況に置かれたことを紹介。今後については「絶滅危機の動物が増え、種の保存と環境教育がこれからの動物園の柱。経営は厳しいが、これにどう立ち向かうか。市民の協力がいる」と語った。
シンポジウムでは、宮下教授、動物教材研究所pocketの松本朱実さん、和歌山大学観光学部の加藤久美教授が今後の動物園について意見交換した(写真)。宮下教授は「北海道の旭山動物園が注目を浴びたが、長年、来場者のニーズに地道に取り組む姿勢があったからできた。各園がオリジナルで、いい意味で競争がおきてほしい」。松本さんは「旭山は動物を大切にしているのが伝わってくる。和歌山でもここで何を伝えるか、コンセプトがあればと思う」。
また、和大観光学部の学生が独自に考えたお城の動物園の活性化案を発表。城下町をイメージし、「殿様のツキノワグマベニー」「飛脚のエミュー」など動物を江戸時代の雰囲気の中でみせるユニークな案を語り、「お城の中にある動物園は全国でも珍しい点をアピールしたい」と訴えた。
(ニュース和歌山2016年1月16日号掲載)