提案者:市場 美佐子(和歌山イコール会議防災部会長)
昨今の巨大地震や想定外の天候は、大きな被害を各地にもたらしています。被災地域では、避難生活が長期間にわたることも多く、高齢者や障がい者、子どもらへの多様な支援が必要となっています。
避難所では、女性たちに大勢の食事の準備を長期間任せたり、女性がプライバシーの確保を申し出ると、「この非常時にわがままだ」と我慢を強いられたりと、女性にかかわる問題が多数報告されています。被災の心労に加え、過酷な避難生活になるのです。このため、避難方法や備蓄準備のほかに、避難所の運営手法や必要な支援など、女性が自ら事前情報を得ておくことが重要となります。
今まで支援を受ける側になりがちだった女性ですが、生活力や暮らしの知恵があり、肩書きにとらわれず行動できるなど、家事以外でも、災害時に活躍できることは多くあります。女性の意見を吸い上げる仕組みづくりが必要です。
そこで、各自治会の防災組織のリーダーには、男性だけでなく、女性1人を必ず加えることにするのはどうでしょうか?
自治体から示される避難所運営マニュアルでは、女性リーダーを設けることが望ましいとされていますが、まだまだ少ない。女性が運営のかじ取りに入ることで、女性の声を受け止め反映するだけでなく、様々な準備もできるのではないでしょうか。
東日本大震災の際、福島県郡山市で避難所になった「ビッグパレットふくしま」では女性のリーダーが活躍し、女性専用スペースを設けました。私たちは、大災害での大勢の犠牲をふまえ、今後の災害に向けて多くのことを学ぶ時間を今、いただいています。これを無駄にすることなく、生かさなければなりません。
今後30年以内に南海トラフの巨大地震に見舞われると予想される和歌山。年齢、性別、障がいの有無や国籍を問わず、一人ひとりが大切にされる防災と支援の体制を備えた社会となることを願って提案します。
この法案にご意見を
「賛成・反対・どちらでもない」のご意見とその理由、氏名、年齢、職業、住所、電話番号を書いてお寄せください(匿名希望の場合、その旨も明記ください)。次号以降掲載致します。抽選で毎月3人に1000円分のクオカードを贈ります。
なお、皆さんからの「和歌山よくする法案」も募集中です。
【応募先】
編集部「よくする法案」係
郵送=〒640・8570 ニュース和歌山
FAX=073・431・0498
メール=nwtoko@nwn.co.jp
法案への読者の声
1月9日号掲載 インスタグラムで地元自慢
たくさんの人が持っている地元愛をつなげて地域を活性化するため、インスタグラムでふるさと自慢を発信していきましょう。
(「#lovehidaka」発起人・山口和起)
◎手近に活用できる良い提案だと思う。スマートフォンなどで気軽に写真を撮ることで、ちょっとした地元紹介になる。それを遠くの親戚や友人知人に見てもらえば、地元、広く言えば各都道府県、国の宣伝にもなる。結果的に観光へ波及し、町の活性化につながるのではないだろうか。(契約社員 川﨑健太・33歳)
◎インスタグラムって何だ。そう思う人もまだまだ多いとは思うが、今は情報をインスタグラムやツイッターから得ることを第一にしている人が多い。そういう人たちには、いくらテレビや雑誌で取り上げられても届かないが、インスタグラムのたった1枚の写真が大きな反響を呼ぶことがある。地元を盛り上げるのにインスタグラムは大いに利用すべきだと思う。(会社員 匿名・36歳)
〈読者投稿〉
誤報メールはプラマイゼロ
和歌山市片男波地区防災部長 玉置成夫(78)
元日は親戚、家族が集まって自宅で過ごしていました。お昼過ぎ、携帯電話やスマートフォンが一斉に鳴りました。「和歌山県沖で大きな津波の観測がありました」。地震は揺れていないし、テレビで緊急地震速報は流れていない。防災ラジオも鳴っていないため、不思議に思っていました。
そうこうしているうちに、自治会の防災部長をしている私の家に近所の人が続々と集まってきました。「玉置さん、逃げやんでええんか?」。もし、震度1でも揺れていたら即刻逃げていたでしょう。地域のお年寄りをはじめ、地元の高校生まで駆けつけてくれました。その後、県や市役所に問い合わせて誤報と分かったのです。
今回の騒動は、「人騒がせな」と感じた人もいるでしょうが、私はプラスマイナスゼロだと思っています。マイナスは、こういったトラブルが起きると、本当に地震があって津波が来るときにメールを信じずに逃げ遅れる人が出ることです。プラスは、県と海洋研究開発機構が連携し、危険を知らせるシステムを作っていることを県民が知る機会になった点です。実際に地震が起きたとき、こういった形でメールが届くと知っておけば、いざという時の冷静な行動につながります。
世代を問わず近所の人が集まってくれたのは、普段から自治会で防災情報を広報している成果でしょう。そんな地元の人たちが頼もしく感じられた新年の幕開けでした。
(ニュース和歌山2016年1月16日号掲載)