県は、りら創造芸術高等専修学校(紀美野町真国宮)の生徒が演じる薬物乱用防止啓発劇「分岐点~もしも危険ドラッグを使ったら」を収めたDVDを作成した。県内の中高へ配布し、一般貸し出しを始めた。県薬務課は「世代を問わず学べる内容で、子育て中の人や地域の大人にも見てもらいたい。危険ドラッグへの知識が深まれば、薬物汚染の抑止力につながります」と呼びかける。
覚せい剤や大麻に似た化学物質を持つ危険ドラッグ。乱用による検挙者は、全国で631人(2014年)に上る。検挙者の平均年齢が若いのが特徴で、薬物汚染で最も乱用者が多い覚せい剤の41・7歳に対し、危険ドラッグは33・4歳と、乱用への入口となる薬物として近年、社会問題化している。危険ドラッグの恐ろしさを若年層へ知ってもらおうと、県は14年、同校と連携し啓発劇を制作した。
文化祭の発表を控えた1人の女子高校生。練習がうまくいかず、荒れた家庭環境でストレスがたまっていたところ、先輩に「気分が良くなる」と勧められた違法ハーブを使ってしまう。友人たちは薬物乱用から立ち直らせようとするが、少女の選択は…。
りらの生徒たちは14年度中に県内の中高10校で上演した。「同世代が演じていて感情移入しやすい」と好評で、県の優良演劇に推奨されると共に、DVDは文部科学省の社会教育教材に選ばれた。
県内各保健所(和歌山市は県庁薬務課)で無料で貸し出す。同課(073・441・2663)。
(ニュース和歌山2016年1月23日号掲載)