和歌山の皮革工場につるされている赤色の革は、まるでフラメンコのドレスのようにはためいています。染め上げた色を浸透させるため、工業用のファンで乾かします。そうすると革は波打ち、よりしなやかに見えます。
この写真は和歌山産の、真に美しい製品そのものの特徴をとらえています。革の見た目だけではなく、その感触や、革本来の香りまでも、この写真から感じ取れるようです。しなやかで、やわらかく、なめらか…。その品質と他にはない高級感を世界中が求めています。和歌山産のレザーを長年扱ってきた海外の名だたるファッションメーカーへいつでも送り出すことができます。
地場産業で使われる機械は明治時代からほとんど変わっていません。カメラマンである私にとって、そのノスタルジックな雰囲気こそが魅力的なのです。
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オーストラリア出身の写真家、映像ジャーナリスト。2008年に来日し、和歌山大学観光学部の特任助教を務めるかたわら、太地町の捕鯨文化をユネスコの産業遺産に登録するため、文化財の独自研究と調査を進めている。
(ニュース和歌山2016年2月24日号掲載)