かりん和歌山短歌会・橋本満子選
来る年は如何なる年に成るならむ願ふはこの国世界の平和 的場雄次郎
カップルの磯鵯のラブソング今日も聞かされ負けじと吟ず 髙城 友加
ひとびとはいづくから来ていづこへと去りゆくものか古城の落葉 植村 弘
紀の川短歌会・各自選
年ごとに玉砂利の音にぶくなるそんな気がする初詣での朝 蔵 千代子
松竹梅背にして祝ふ元旦の空気あたらしいのちあたらし 西永 由子
鋤田遠く三連凧の上りゐて玉野の波止は波の花舞ふ 山口 雅史
芙蓉句会・上野みのり選
早朝より鎮めし心初硯 赤星佐和子
八十路への思ひの丈の初日記 伊都 貞子
子の新居夫の作りし注連飾 辻 多惠
オーロラ俳句会・森井美惠子選
初御空羊の如くおだやかに 足羽多加子
字の読めぬ孫の加はるかるたとり 飯島 治子
元朝や絵文字の躍る孫のメール 古梅かほる
海南市住民センター俳句講座・塚月凡太選
眉を引く顔近づけて初鏡 中野 富子
ふたり目も姫君生まれ初写真 宇恵 孝子
初夢と思ひし目覚め朝ぼらけ 阪部ちか子
狩河西句会・須田光成選
門松や隣の家に子の生まれ 池田 文子
古稀といふけじめを迎へ年新た 藤池 芳子
恵方より翔び来て鴉常の声 加藤かずえ
わかば俳句会・宮本啓子選
どの窓も開けて初日の満ちるほど 福本 秀昭
頑張ると記す五年の初日記 井田 幸人
恵方へと駈け出しさうな神馬像 福本まり子
ふきあげ俳句会・武友朋子選
見上ぐれば正月の凧被災の地 釜口 忠彦
振出しに戻り涙目絵双六 児玉 啓子
初空や国体を待つ競技場 谷越 勝司
ぎんなん俳句会・福本まり子選
田作りの筋金入りを鉢に盛る 伊藤美年子
エプロンの袖ぴんと張り節料理 吉間すま子
感謝より願ひの多し初詣 丸毛 光明
天美苑俳句会・綾ひろ子選
屠蘇受けて父思ひ出す座敷かな 岡本 茂
福寿草咲いてわれらの健やかや 田村 艶子
お洒落して孫とデートの初詣 三角 裕美
南和俳句会・大倉義正選
賀状書くことの喜びかみしめて 上野冨士子
故郷の山河輝く初明り 坂口 良子
神仏に同じ願ひを初詣 山本 峻子
たんぽぽ俳句会・宮本啓子選
穏やかな羊年にと初詣 上中 典子
割烹着眩しい母が注連飾る 谷崎 政子
新年会いつも来る友今年来ぬ 中村 弘子
萌木俳句会・上中光選
兄ちゃんになつたと自慢初電話 井谷 靜男
煤竹にこそばゆげなる深庇 池田 廣子
髪括る紐の赤さや初稽古 児玉満智子
紀伊地区公民館俳句会・各自選
抱きあげて児にも見せたし初日の出 坂本記美子
初日の出心あらたに手を合わす 浦 悦子
初詣老ひし祈願の一つ増へ 久世 勝
喜成会俳句会・大倉義正選
初詣恙なきことまづ祈り 川崎美喜子
友よりの賀状いく度も読み返す 岡本多喜子
孫ら来て玩具だらけのお元日 太田 壽枝
番傘とらふす川柳会・各自選
ひもとけば宝の文字をつなげてる 倉橋 悦子
しきたりをきっちり守る雑煮椀 馬場 明子
今年また精を出します暇つぶし 田中 山海
(ニュース和歌山2015年1月10日号掲載)
