テレビのチャンネルをあれこれ替えていて気がついた。事件や出来事を振り返り、タレントやコメンテーターが好き勝手なことを言う番組の多いこと。年明けからは、元プロ野球選手の薬物問題、タレントの不倫と扱う話はどこも同じで、番組と話す人が違うだけにみえる▼しかもコメントする人たちのネタの切り方、叩き方が最大の見せ場になっていて、その言いっぷりが痛快だったりすると、インターネットでニュースになる。世間一般も期待しているのだ▼民俗学者の宮本常一が書いていた。村の寄り合いで、集まった人が特定の人を悪し様に言う。そこで長老が立ち、「みんな悪いことを一つでもしたことがないのか。それぞれ自分に聞いてみなさい」。みんな黙り込んでしまった▼問題を起こした人は周囲に迷惑はかけたろうが、それ以外の人に直接害を与えたわけではない。つまずき、失敗した人に石つぶてを投げるような真似が当たり前になっていいのだろうか。今のテレビの感性は少し怖い。 (髙垣)

(ニュース和歌山2016年3月5日号掲載)