県内の市町村に寄せられた高齢者虐待の相談・通報件数が2014年度、過去最多を記録した。家庭内での虐待は228件、高齢者福祉施設は18件だった。県長寿社会課は「高齢化に伴い、介護の必要な人がいる世帯が増え、虐待は増加傾向にある。調査に上がっていない数もあるはず。防止の啓発を進めていきたい」と話している。
介護する人の負担を減らし、虐待を防ぐ高齢者虐待防止法が2006年に施行されて以降、県は高齢者福祉の相談窓口である市町村の地域包括支援センターや、担当課が対応した虐待数と状況をまとめている。
14年度の家庭内での虐待に関する相談・通報は、13年度の182件を上回る228件で、事実が認められたのは121件、虐待を受けた人は124人いた。身体的虐待が7割、暴言、無視など心理的虐待が4割にのぼり、虐待を受けた人の約4割が認知症患者だった。虐待したのは息子が30%で、娘が22%、夫が19%と続く。
一方、高齢者福祉施設は18件で、4件、5人の事実があった。なぐる、ける、拘束するなど身体的虐待が4人、職員に預貯金を使い込まれた人が1人。通報者の内訳は、同じ施設で働く他の職員が3人、家族や親族が3人だった。
虐待があった家庭は高齢者を施設で保護するほか、介護者の負担を減らすため、介護サービスの利用を促すなど対応。施設には、市町村が改善計画を求め、立ち入り調査を続けている。同課は「1人で介護することがストレスにつながるケースもある。抱え込まず、地域包括支援センターなどに相談して」と呼びかけている。
(ニュース和歌山2016年3月5日号掲載)