特集「3・11 あの日から5年」

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  津波の被害を受けた三陸海岸で、ボランティアダイバーとして活動する水中写真家、塩崎仁美さんの写真展「それから もう5年、まだ5年~震災後の東北」が 3月8日(火)~20日(日)、和歌山市満屋のアクアで開かれる。塩崎さんは「被災地で今も手が付けられていない景色を目にすると、関西で暮らす自分たち の意識とのギャップを感じます。見る機会の少ない水中写真で、東北に少しでも心を寄せてほしい」と望む。

 東大阪市の塩崎さんは13年前に 友人に誘われ、和歌山の海で初めてスキューバダイビングを体験した。色鮮やかな世界と間近に迫る生き物、あらゆる角度から撮影できる水中写真に魅力を感 じ、みなべや田辺、紀伊大島などで定期的に潜る。あの日も仲間と共に紀伊大島へ。海へ向かう途中、「戻って! 津波警報が出てる!」と呼びとめられた。 「海中にいた仲間から『大きな音がした』と聞きました。被災地の映像は今も忘れられません」

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  被災地の力になろうと、2012年から三陸ボランティアダイバーズの活動に参加し、50回以上潜ってきた。海底に沈んだ船を引き上げたり、漁網に絡んだガ レキを取り除いたりする活動で、カメラを使って水中の状況を船上の漁師に伝える役割を担う。「震災後初めてホタテの養殖を再開させた漁師さんに、きれいに 育っている様子を撮って見せると、喜んでくれました」とやりがいを話す。

 写真展では、石巻や陸前高田、大船渡の海で撮影した約40点を展 示。ガレキを海中から引き上げる様子や、移り変わる海底の景色などを紹介する。「陸上は地域によって復興の早さに差を感じますが、水中はどこに行っても 濁っていた水が透明になり、海藻の復活が進んでいて自然の力強さと回復力はすごい。これからも5年、10年と撮り続けたい」と抱負を語る。

 午前10時~午後5時(土日7時)。12日(土)午後5時から、塩崎さんのトーク。同店(073・463・4640)。

写真=東北の現状を語る塩崎さん 被災地の海で活動するボランティアダイバー

 (ニュース和歌山2016年3月5日号掲載)