まもなく桜の季節です。毎年の花見では、息をのむほどの輝かしい自然にただただ気持ちが高ぶります。
寒さ厳しい冬が終わり、あらゆる命が芽吹く春。日本で最も美しい季節ではないでしょうか。
物語や伝説を持ち、地域のシンボルとなっている特別な木が日本にはあります。田辺市の近露に咲くしだれ桜は、南北朝時代から29代続く野長瀬邸にあります。江戸時代に京都から苗木を取り寄せ、樹齢は269年に及びます。このような木は、昔からの友が日常で喜びを与え合うように、私たちに毎年、花という宝物を与えてくれます。
この写真は私の日本の家族を撮ったポートレートです。近露では毎年3月末、春を愛でる桜まつりが開かれています。
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オーストラリア出身の写真家、映像ジャーナリスト。2008年に来日し、和歌山大学観光学部の特任助教を務めるかたわら、太地町の捕鯨文化をユネスコの産業遺産に登録するため、文化財の独自研究と調査を進めている。
(ニュース和歌山2016年3月9日号掲載)