顔に見えたとたん…
風邪で寝ていた時、天井を見上げたら丸い蛍光灯が顔のように見えました。蛍光灯から垂れたスイッチのひもが、口から垂れたよだれのように見えて愉快な気持ちになりました。
町を歩いていると、思いがけないものが顔に見えます。今回の本は「顔に見えるもの」達の写真絵本です。
「よう げんきかい」と、ぼくに話しかけるのは、信号の歩行者ボタン。「さかあがり できるかい」と聞くのは、鉄棒の留金。「はしって ころびなさんな」と言うのは、家の窓。
顔に見えたとたん、ものだった彼らが話しかけてきます。ふしぎですねぇ。その声はどうやら子どもによく聞こえるよう。彼らが子どもに囁く物語を聞いてみたい気がしますね。
(和歌山市民図書館司書 額田美那子)
(ニュース和歌山2016年3月9日号掲載)