「一度遊びにいらっしゃい」というお言葉に甘え、先日、母校を訪ねてみた。と言っても小学校や大学ではなく、創立60年を超えた市立幼稚園。すべり台のついたこぢんまりした園舎や遊具は昔と変わらない。隣の畑で土いじりしたのも懐かしい▼訪問に誘ってくれた現在の園長に、色々と話をうかがった。1977年のピーク時は1学年223人いた園児は、33歳の私が通ったころは100人ほどで、今は30人だそう▼園長とは昨秋、一度お会いしただけ。今春、長い教員生活を終えると聞いたのが訪問のきっかけだ。教え子であるかのように優しく語りかけてくれ、子どもたちのことや自身のこと、人生について…と、いつまでも聞いていたい気分になった▼実はこの幼稚園、私は途中で引っ越したため卒園できなかったが、時を超えて恩師と再会できたようなうれしさがあった。「先生」は、学校生活の中だけではない。大人になった今こそ、あちこちで巡り会えるチャンスがある。新しい季節が始まった。 (宮端)
(ニュース和歌山2016年3月12日号掲載)