白浜町富田(現・上富田町)の一目坂に出たとされる妖怪。名の通り目がひとつしかない狸で、怒れば怒るほどその目玉が大きくなるという特徴をもっている。
一目坂を通る人の前に突然飛び出しては驚かすという悪戯をする。それ以外はとくに悪さをするわけでもないのだが、ある時、一目坂を通った盲目の老人を驚かそうとした。
ところが、目の見えない彼は全く驚かない。怒った狸は目をどんどん大きくさせ、ついには顔からはみ出してしまい、ひっくり返って頭を打って死んでしまったという。
なんとも気の毒な結末だが、悪戯も度がすぎると痛い目にあうとの戒めだろう。
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妖怪をこよなく愛する和歌山市の漫画家、マエオカテツヤさんが毎月第2、4土曜、妖しの世界に誘います。
(ニュース和歌山2016年3月26日号掲載)