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 〝チューリップフェスタ〟と題し、毎年春に校内を彩る1万本以上の花を一般公開している県立和歌山高校(和歌山市新庄)。今年も生徒や保護者、地域の人が協力して植えた1万2000本がまもなく見ごろを迎える。栽培が始まって20年の節目を迎えた今年は、元育友会メンバーが「チューリップリレー 未来へのバトン」と題したフォーラムを企画。フェスタ期間中の4月2日(土)にこれまでの活動、そして今後について語り合う。

 「花でも植えるか」──。教室の窓から見える花壇には2㍍ほどの雑草。1996年、当時、同校教諭だった村崎隆志さん(現・きのくに青雲高校定時制課程教頭)の言葉を受け、3人の生徒が立ち上がった。その一人、山口晋司さんは「入学したころから花壇は荒れた状態だった。卒業までに何か形になるものを残したいと思いました」と振り返る。

 花壇は長さ70㍍、幅2・4㍍。村崎さんは「2、3年かけて花壇に戻せれば」と考えていたが、生徒の頑張りは予想以上だった。雑草とゴミを取り除いてあっという間に整地を終え、秋にはチューリップとムスカリの球根900個を植えられるまでに。村崎さんは「自分たちの学校は自分たちの手できれいにする。その思いが原点」と懐かしむ。

 花づくりの輪はその後、園芸部や生徒会、教職員へ。さらに育友会や地域住民にも広がった。2003年には「せっかくの花、もっと多くの人たちに見てもらいたい」との生徒の提案を受け、チューリップフェスタがスタートした。

 フェスタに毎年、演奏で花を添えているのが総合音楽部だ。吹奏楽班部長の山本楓華さん(2年)は「こんなに花に囲まれて演奏できる場所があるのはうれしい。今年も子どもから大人まで幅広い人が楽しめるように頑張りたい」。顧問の雑賀茉衣子さんは同校卒業生で、高校時代に栽培を手伝った。「花が終わった後、掘り起こした球根をまた秋に植え、翌春また花を咲かせる。そのリレーがこれほど長く続いているのはすごいことです」と笑顔を見せる。

 活動開始20年を機に、育友会OBはフォーラムを開く。「これからも続いてほしいとの思いを込め、サブタイトルは〝未来へのバトン〟としました」と実行委員長の谷口恭子さん。活動の歴史を振り返りながら、これからについて意見交換する。実行委員の打田錦さんは「今もお手伝いに行きたいけれど、子どもが卒業した後、我が子の母校に携わるのはなかなか難しい。これからも何か応援ができるきっかけになれば」と願う。

 チューリップフェスタは4月1日(金)~10日(日)で、自由に観賞できる。イベントデーの2日(土)午前9時~午後4時は書道部の書道パフォーマンス、家庭クラブの焼き菓子販売、茶道部の茶席などがある。フォーラムは午前10時から。

写真=昨年のチューリップフェスタ

(ニュース和歌山2016年3月26日号掲載)