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 紀の川市南部の山間地、鞆渕(ともぶち)地区にある全校児童・生徒20人の鞆渕小・中学校。都心部の子どもたちが寮生活をしながら通う山村留学を導入しており、現在、留学生の世話をする寮母を募っている。宮本治校長は「学校と地域が一体となり子どもを見ています。ゆったりとした時間が流れる自然豊かな場所で、子どもの成長を一緒に見守りませんか」と呼びかける。

 30年前には小・中合わせて100人の子どもがいた同校は、少子化により現在はわずか20人に減少した。山村留学は、都会に住む子どもが親元を離れ、農山漁村にある学校に通いながら自然に囲まれた生活をすること。同校では、生徒の減少に危機感を持った保護者が鞆渕地区山村留学対策委員会を発足させ、1987年に始めた。当初、住民が自宅でホームステイさせていたが、92年に子どもが寮生活できる山村留学センターを設立。これまで大阪や愛知、和歌山など県内外の149人を受け入れた。

 今年は中学生2人が留学中。現在の寮母は5月上旬で辞めるため、ゴールデンウィーク後から働ける人を探している。住み込みで食事や洗濯などの世話をする仕事で、昨年末まで寮母だった橋本市出身の中家ちひろさんは「お世話というより、地域の人も優しく、鞆渕の自然を満喫できる良い体験をさせてもらった。生徒とも親子のような関係になれて楽しい仕事です」と話す。

 同委員会の立ち上げからかかわる西均さんは「山村留学は学校を存続させる目的に加え、他の学校で不登校やいじめなどに悩んでいた子の居場所にもなる。地域と子どものためにも協力してもらえれば」と望んでいる。

 詳細は同校(0736・79・0895)。

写真=中1、2の複式学級では山村留学生1人を含む3人が学ぶ

(ニュース和歌山2016年4月23日号掲載)