野菜作りや地域の人とのふれあい、子育てなど和歌山での移住生活を描いたエッセイ漫画『わたしの和歌山ぐらし』を、大阪出身で紀美野町在住のイラストレーター、助野梓さんが作成した。移住希望者向けに和歌山市本町のわかやま定住サポートセンターなどで県が3月末から配布しているほか、県のHPで公開中。助野さんは「田舎暮らしは楽しいことばかりでなく、大変なこともあります。ありのままを絵にしました」と笑顔を見せる。
小さいころから絵を描くのが好きだった助野さん。大阪市立工芸高校を卒業後、京都精華大学のマンガ学科で風刺画などを学んだ。似顔絵作家として出版社で働き、世界一周のハネムーンに出るため退職した。
2年間の旅で出会ったのは、色鮮やかな民族衣装を手作りするベトナムの山岳民族や、野菜や大豆を育て、自給自足の生活をする中国四川省の農家ら「暮らし」を大切にする人々だった。「彼らのように伝統と文化を受け継ぎ、手仕事や毎日の食を大事にしたい」と、帰国した2013年、夫の実家がある紀美野町の毛原地区に移住した。
冊子は、県過疎対策課の依頼で作成。移住のきっかけから、近所の高齢者に教わった番茶やつるし柿作り、出産と子育てといった日常を描いた。毛原地区の自然風景とともに、出会った人々の表情を水彩絵の具で色彩豊かに描き出している。最後には、移住者向けの補助金や県の支援サービスなど実用情報を掲載した。助野さんは「自然の中でのびのび遊ぶ娘を見ると、移住してよかったなと思います。いつかこの地域の伝統や文化を本にして残し、伝えたい」と話している。
A4判、10㌻。県HP「WAKAYAMA LIFE」で閲覧できる。
(ニュース和歌山2016年4月23日号掲載)